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劇場版 騎士龍戦隊リュウソウジャーVSルパンレンジャーVSパトレンジャーのSexyBeastBabaのレビュー・感想・評価

4.5
先日、日本でブライアン・デ・パルマの最新作「ドミノ -復讐の咆哮-」が上映されたが、そのデ・パルマの異様なまでの変わらなさには驚いた。そして「レイジング・ケイン」辺りから自己模倣を延々と繰り返した果てに、デ・パルマは例えばジョセフ・G・ルイスやロバート・シオドマクなど40年代50年代のB級ハリウッド職人たちの域にまで辿り着いたという思われた。ここから先、デ・パルマ作品はモノクロームでこそ観られるべきだろう。

ではそれに対抗できる作品が日本には存在するのか。映画評論家たちはおそらく嘲りの念を以て"日本にそんな作品は存在しない"とニヒリズムを発揮してみせるだろうが、私は信じていない。何故なら日本で「ドミノ」が上映される1週間前、日本各地のシネコンで「スーパー戦隊MOVIEパーティー」が上映されたからだ。

特に戦隊ヒーローや仮面ライダー、プリキュアの映画を観るたびに、私はその語りの速さに驚かされる。無駄は一切存在せず、物語は淀みなく語られていく。この卓越した崇高な職人性は先述したルイスやシオドマクが作ってきた作品たち、私としては「私の名前はジュリア・ロス」と「都会の叫び」を挙げたいが、そういった歴々たる作品たちに連なる速度を持つのは正に今作だ。日本において、いや世界においても稀なのではないか。

それでいて本作はMCU的な構造をも持ち合わせており、テレビシリーズを前もって観ておかねば作品が十全に楽しめない仕様ともなっている。それというのは興味深いことに、つまり「スーパー戦隊MOVIEパーティー」は旧世代と新世代のハリウッドの構造を内に搭載している訳である。そういう意味ではアメリカ映画以上にアメリカ映画ながら、今作は紛れもなき日本映画という奇蹟的な構造を持ち合わせているのだ。

日本の興行収入ランキングが話題になる時、間抜けな映画評論家や映画作家たちは"1本も観ていない(笑)"と無知を露呈する悲惨な発言を隠さない。だが私たちは彼らの陳腐なニヒリズムに騙されることなく、誇りを以て「スーパー戦隊MOVIEパーティー」を観に行こうじゃないか。そこに映画の未来があるのだから。
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