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恐怖のアンソロジーのBaadのレビュー・感想・評価

恐怖のアンソロジー(2020年製作の映画)
3.4
これは、見る人によって評価がものすごく割れているのが面白いんですが、ホラーという枠を無視すれば私は最初の2本がよかったです。

いずれもヒンディー語映画を代表する名監督による短編ですが、後半の2本の監督、ディバーカル・バネルジーとカラン・ジョーハルはそもそも短編映画撮るの苦手な感じがするのでもうオムニバスに参加するのやめた方がいいんじゃないかと思った。絵作りは雰囲気があって素晴らしいんですが・・・

一本めはゾーヤー・アクタル監督による訪問看護婦の話ですが、多分介護保険のようなものはないのだろうから、こういう人頼めるのはかなりのお金持ちなのか、介護の仕方もきちんとしていて手際が良くて見ていて楽しかった。

前回の『慕情のアンソロジー』の同じ監督の短編に似ていましたが、ゾーヤー監督こういう話好きなのでしょうか。前回のの方がはるかによかったですが、これはこれで女性二人の心理ドラマとして綺麗にまとまっていました。「怖い」の質が、ホラーの方じゃなくて、日常的にすごく怖い思いをしたという方でちょっと違う気がしますが・・・

第二話のアヌラーグ・カシヤプさんのが一番まとまりは良かったかな。妄想を映像化した部分が大きいのは流れからわかりますが、叔母のネハーが鳥の卵を大事に育てている理由が過去からの一種のトラウマ、というのが結構リアルでした。

このアンソロジー、ホラーに分類されていますが、原題は英語で"Ghost Stories"ですよね。そう素直に解釈して作品作った監督の方が多かったのでしょうか?

第三話は一応ゾンビ映画撮りたかったのでしょうか?でも完全に政治映画になってますよね。これ、日本に当てはめても通じるような気がしましたが、インドだと実際に支配地域があるナクサライトあたりに準えているのでしょうか。これをここに入れてくるセンスはちょっとどうかと思ったのですが、絵のセンスと暗い画面の雰囲気どっかで見覚えが・・・
と思ったら、スシャント・シン・ラージプートさんの代表作の一つ、”Detective Byomkesh Bakshy!”の監督さんだったのですね。この映画、日本軍占領下だか日本軍がすぐそばに来ていた頃の第二次対戦中の探偵映画なので日本語化したら面白がる人多いと思うので、一般上映是非!

第四話はお馴染みカランさんですが、話はわかりやすいものの、これあまりにもありえなすぎない?というところでドッチラケ。ヒロインの女優さん綺麗だったし、役者さんと美術さんは良かったのですが・・・

お見合いの時から怪しげだったので、断るならその時だろうし、それでも好き、というのなら、もう少し夫のお話に付き合って様子を見てから行動するのでは?あの家族も変だけど、ヒロインあほすぎで、ちょっと呆れてしまいました。

ホラー目指して作っている映画はちょっと、という感じでしたが、幽霊話としてみれば最初の2本は面白かったのでした。
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