TakeshiUchida

どこへ出しても恥かしい人のTakeshiUchidaのレビュー・感想・評価

どこへ出しても恥かしい人(2019年製作の映画)
4.2
シンガーソングライター友川カズキさんの日常を追ったドキュメンタリー。
横浜シネマリンにて、ちょうど監督、脚本家の井上淳一さん、監督の白石和彌さん、監督、脚本家の荒井晴彦さん、監督の森達也さんが結成した「押しかけトーク隊、勝手にしゃべりやがれ」とのコラボで井上さん白石さんと友川さんと脚本家の加藤正人さんに飛び入りで本作監督の佐々木育野さんの舞台挨拶付き上映。
映画は主に川崎競輪場かよう友川さんを軸に友川さんの日常を追ったドキュメンタリーで舞台挨拶で聞いて驚いたのは撮影期間は3週間程度だったけど撮影したのは10年前だということ。これってちょっと驚愕で、映画が終わってその後の舞台挨拶を含めて友川さんが全く変わっていないという、まあ、あたりまえなんだけど映画は一時間程度の作品なんだけどその後のトークも含めて2時間の作品を観たかのよう錯覚に陥る。それだけ友川さんって軸がぶれない人なんだと思った。
見る前に一つ懸念があって友川さん以前にもドキュメンタリーの対象になったことがあってその時は友川さんの歌をおしゃれな感じにいろいろな手法でアート作品風に撮るものだったのだけどどうもしっくりこない、友川さんと言うシンガーはきっと目の当たりにしないとその凄さが伝わりきらないシンガーなんだと思っててその辺り今回の作品はどうなんだろと思ってた。
で、今作はその辺りを意識したのか友川さんの歌は割とあっさりとしか使っていない、冒頭こそ友川さん、頭脳警察のトシさん、ロケットマツさんとワンボックスカーの中で演奏しながら新宿の街を走り回るという演出だけどそれもあっさり終わって競輪場に行く友川さんにつながっちゃう。
全編を通じて友川さんはおかしみの人でライブを観た人ならわかると思うけど、絶妙におかしいしゃべりなんですな。とは言え言っている内容は全然お茶らけてなくて実に鋭い政治批判だったりもするんだけど見ている人は笑いに包まれるという。
そんな中オイラがうなったのはクライマックス。例のワンボックスカーライブで「乱れドンパン節」を歌う中、突然カメラが車を飛び出し新宿の街を徘徊するシーンがある。舞台挨拶トークで白石監督が号泣したというシーンオイラも泣きそうだった。恐らく友川さんの歌は映像のフレームに収まりきらない歌なんだけどそこに作者の佐々木監督の想いが重なると途端に胸にせまってくるんだと思う。このシーンが見れるなら是非とも劇場に行ってほしいですな。
映画はこの後各地を回って上映されるみたいなので是非。
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