あき

ほんとうのピノッキオのあきのレビュー・感想・評価

ほんとうのピノッキオ(2019年製作の映画)
4.0
リアルなピノッキオ。
でも”ダークファンタジー”というフレーズは誤解を招くと思われ、かなり夢のあるファンタジーに仕上がっている。
でもディズニー版のように完全無害な出来すぎたストーリーでいかにも子供の教育によさそうな教科書チックさがない分、リアルで面白い。
本作ではかなり原作に忠実で、子供なだけに赤子の手を捻るレベルで簡単に大人に騙され金は奪われるし身売りされるのに反省せずすぐ誘惑に負けて良心とは対局の行動に出てしまうが、遅々とはしているが少しずつだけど成長していく。
ラストはいわゆる定番の終わり方なだけに、
逆に小学生中学年以上の子を持つ親だったらディズニー版よりもこっちを観せたほうが俄然響く内容だと思った。
ちなみに本当の原作は良心を持てば人間の子供になれる、正しい行いをすれば報われる、という希望のある終わり方じゃなくて、本作でも出てきた、ピノッキオの持つ金貨を奪おうとしたら飲み込まれてしまったために、首を括られて木に吊るされ、死んだら喉から金貨を取り出そうとネコとキツネが企むシーンだけど、原作ではここで、ピノッキオは木で出来た人形なだけに呼吸するわけでもないから首を括られても思うように死んでくれないことに腹を立てたネコとキツネに滅多刺しにされて殺されて金貨を奪われ、ピノッキオは会いたかったジェペット爺さんとの再会を果たせず、誘惑に負けて大人に騙された自分を悔いて終わるという不条理系。
でもそのラストにクレーム殺到で現在伝わるエンディングに変更されたという経緯は、やはり昔の倫理観を知る上で興味深い。
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