ようすけ

X&Yのようすけのレビュー・感想・評価

X&Y(2018年製作の映画)
3.3
ユーロスペースのトーキョーノーザンライツフェスティバルのAnna Odell作品2本目
『同窓会 アンナの場合』と比べると、、、見難いっ‼︎

この映画の冒頭でアンナは、この映画は実験的なものであり、その実験を行うとともに並行しながら脚本を描いており、現実と虚構とが入り混じったものであり、その区別は観客にはつかない、と宣言してる(本筋にミスリード的に現実の部分が散りばめられているが故に非常に難解な映画に仕上がっているのだが)
また、この実験的映画の目的としては『セックス・エジュケーション』にも出演しているミカエルの根源的な部分を探ることが挙げられる

この映画ではアンナとミカエルの表面的な性格をそれぞれ3人の役者に演じさせることで(アンナ、というよりはミカエルがメインの対象なのは言うがもがなではあるけれど)、根っこの、最も脆く、それ故に隠された本性を探るものになっている
それを示すかのように3人の役者たちはミカエルの分身であるはずなのに次第に主導権はその“分身”に移っていき、ミカエルには脆い部分だけが残り、その本性が見えてくるようになる
それを示すかのように、前半はあんなに男らしさに溢れ、自信に満ちたミカエルは映画も終盤になると常に不安そうな表情を隠せなくなっていく
その自信に溢れた様子はアンナとの冒頭のセックスについて話すシーンが物語っている、女性に対して男性が優位にあるという、まさに男性性の象徴に他ならない

そしてミカエルを精神的に追い詰めるのが、アンナの先の見えない映画の脚本執筆と“芸術の子”と称される、誰が父親なのかが判然としないアンナの宿した子供

アンナによるこれらの揺さぶりをかけられることによってアンナの狼のコスチュームのように、ミカエルは剥き出しにされていく
しかしその様子に狼のような強さは感じられず、まるで野良犬のようにか細い姿が映し出される

こうした実験的試みを2作続けて行った映画の寵児たるアンナとこのような作品を作れるスウェーデンという環境が、あまりにも日本と違いすぎて(パラサイトの作品賞受賞によってそれがより浮き彫りになったわけだが)羨望すら感じる

おそらく今年一番の難解映画であることには違いない
ようすけ

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