Monsieurおむすび

サイコビッチのMonsieurおむすびのネタバレレビュー・内容・結末

サイコビッチ(2019年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

トーキョーノーザンライツフェスティバル2020にて。

超のつく優等生のマリウスと異常な言動で問題児扱いされるフリーダの青春ラブコメ。
なんでも褒めちゃう父親と世話好きな母親のもとで幸せなんだけど、周囲の期待やイメージにより、抑圧されてもいるマリウスは、破天荒なフリーダに振り回されながらも惹かれていく。。。

学校の屋上、忍び込んだプール、2人きりの教室と、雪に覆われた何もない街なんだけど、スクリーンの中の2人を包む空間はキラキラしている。
ただ、自分の気持ちに素直になれないお年頃、気恥ずかしさや世間体、クラスの美少女レアとの関係がマリウスをどんどん擦り減らしていって、こちらまでヒヤヒヤしてくるし、もどかしくなってしまう。
この辺の理路整然といかない心情はいつも周りの期待に応えてきた優等生ゆえなんだろう。

そんな主人公マリウスよりも、漠然とした不安を抱えてるフリーダの方が本作のキーパーソンな気がする。
転校してきたばかりで馴染み方もわからず、仕事で留守がちな母親には心配をかけたくもない。強引だとしても突飛な行動で周囲を巻き込み関係を構築しようとしたり、気にかけて欲しかったり。少し不器用で意地っ張りだけどなんて健気なんだフリーダ。

言ってしまえば2人の少年少女が互いの心のSOSを受信して救い合う物語。
色んなしがらみを取り払って、規律も同調も気にしない。胸に流れるメロディに身をまかせるオフビートな2人に頬が緩む。

登場人物が基本的には善人ばかりで、子供っぽい部分も勿論あるけれど、中学生なのに色んな意味で成熟している。
ムスリムの彼のように友人を気遣えるか?
大人でも難しい。
幸福度の高い北欧の人権意識や他者を慮る優しさが見てとれた気がする。

日本での一般公開も期待できる作品なので、是非多くの人に観てもらいたい。
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