ちろる

悲しみを越えて -引き裂かれる移民家族たち-のちろるのレビュー・感想・評価

3.3
とある食肉工場が脱税の一斉検挙により、そこで働く不法移民たちが逮捕された。
朝、夫を見送ると、そのまま帰らない。
厚かった信仰心がゆらぐ、神様はほんとうにいるのか?
国境を越えただけで犯罪者になる。
誰も救われないシステム

教会で彼らを支援する、神父さんなど彼らのことを助けようとする米国籍の人たちのインタビューで、彼らの実態が浮き彫りにされる。

人々の胸に複雑な思いが去来する中、"兄弟を助けよ"と説く聖書の教えの真の意味が問われ、宗教的観点からの語り口が強い。

正直言えば移民問題はわたしには深く語れない。
不法移民が良いかといえば、そんなはずはないわけで、取り締まる側にも取り締まるだけの正当な理由があるわけだから、移民たちがいいやつだからとかそういう感情論が通じないというのはわかる。
でも、夥しい数の不法移民の数。
その裏にトランプ政権下の厳しすぎる移民排除の政策があるのは否めないし、不法移民になってもアメリカで働かないとならない自国の貧しさがある。そもそもこれらの不法滞在者の労働力でうまく回っているアメリカの企業もあっただろう。
さまざまな要因で、結果こうして離れ離れにならざる得ない家族がいる。

人道的観点で根本のシステムを見直す事はもちろんだが、不法移民としてアメリカに出稼ぎに行かなければならない、南米の貧困についても先進国が真剣に見つめていかなければならないのだろう。
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