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カフカ「変身」のまるのレビュー・感想・評価

カフカ「変身」(2019年製作の映画)
3.0
ビジュアルみたいな複眼の虫かと思いきや、意外とかわいい。
現実世界では目が覚めたら虫になってた!なんてことはないが、精神・肉体の病気や事故で住んでた世界が一変することはあり得る。
元気な人であっても。
グレゴリーからすると理不尽この上ない災難だし、家族からすると大黒柱を失う災難だ。

最低な意見かもしれないが、深刻な障害を持った家族がいた人間からすると冷酷に見えるグレゴリーの家族に共感してしまう。
周りから見たら献身的に尽くし愛するのが素敵な家族像かもしれないが、終わりなき苦痛と献身を余儀なくされるのはかなり辛い。
生きていた頃は将来このままだとどうなってしまうのか、自分の人生はその家族の部品に過ぎないんじゃないか、そもそも自分に人生の選択肢はどれだけあるのか、とかなり悲観的だった。そしてその視点でしか考えられなかった。
死んだ時は当然悲しい半分、ほっとした気持ちもあったのも否定しない。妹が表していた開放感が一番近いのかもしれない。人として最低だけど。
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