アニマル泉

大空の闘士のアニマル泉のレビュー・感想・評価

大空の闘士(1933年製作の映画)
4.3
フォードの航空映画。原題は「Air mail 航空便」
航空機の映画なのに夜の場面が多い挑戦的な作品だ。冒頭の夜の空港は空も滑走路も暗くてよく見えない。ジョー(ワード・ボンド)が着陸失敗して炎上、マイク(ラルフ・ベラミー)が射殺する。セリフが少なく、強度があるショットが繋がって緊張感あるオープニングとなっている。
メインセットの管制塔の壁一面がガラス張りで面白い。昼間は機体や整備士が通過したり、雪景色になると氷の世界に激変する。
フォードは「雨」だ。大雨の場面はデューク(パット・オブライエン)とアイリーン(リリアン・ボンド)の不倫場面だ。手前の椅子にデュークが足を投げ出し、窓際にはアイリーンが座っていて窓に雨が叩きつけるショットが揺るぎない。マイクが訪れて二人の関係に気づく。この場面はマイクもデュークも訪れる男たちはずぶ濡れのレインコート姿だ。蓮實重彦が指摘するようにフォード映画では傘はささない。
墜落事故が4回ある。本作は「墜落」の映画だ。
マイクがデュークを殴り倒して吹雪の夜に飛行機で飛び立ったあと、物語の軸がデュークとアイリーンに移る。主役のマイクの事故はオンで描かれない。この大胆な構成のシフトは驚いた。
ユニバーサル 白黒スタンダード。
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