コミヤ

コールヒストリーのコミヤのレビュー・感想・評価

コールヒストリー(2019年製作の映画)
4.4
「海に浮かぶ映画館」にて。他者の言葉によって語られることで解体される個人が、幾重にも重なることで浮かび上がるその人たるもの=本当の声というものに濱口竜介と佐藤真のエッセンスを感じる。こんなにも誠実な映画を観ると自分の不誠実さで打ちのめされそうになる。自己防衛としての誠実さという不誠実さと直面させられ、「お前のことだ!」と指差されてる気分だった。不誠実だと自覚している自分は誠実だと思い、他者の言葉を発しようとするのを妨げる。人の話を全く聞けない、聞こうとしない自分への自戒のような作品。
実際に海に浮かぶ貨物船内という特殊な環境での上映に加えて、佐々木監督のトークショー、その後に監督ともお話しでき、仕事そっちのけで行って大正解だった。
「説明台詞を禁止するのは映画のエラー」であり、「これだけ説明しても説明しきれない」ことに価値を見出すという話には視野を広げられた。
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