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わがままなヴァカンスのakrutmのレビュー・感想・評価

わがままなヴァカンス(2019年製作の映画)
2.5
真夏のカンヌを舞台に、パリから遊びに来た従姉の年上女性に感化されて、16歳の真面目な女子高生ナイーマが体験するちょっと刺激的なヴァカンスを描いた、レベッカ・ズロトヴスキ監督の青春映画。正直言って、レベッカ・ズロトヴスキ監督の作品は私にはまったく合わないのだが、今回も残念ながら合わなかった。『プラネタリウム』も『グランド・セントラル』もそうだったけど、この監督の感性がまったく理解できないのである。

本作では、真面目な女子高生が夏のヴァカンスに経験するちょっと背伸びした大人の体験を描いているのだが、ガン黒ビッチの従姉ソフィアのどこに惹かれて(憧れて)彼女と遊びまくるのかが理解できないし、その心情を推測することもできない。そもそも、22歳でこのビッチ姿という設定は、単なるどうしようもない女性にしか見えないんだけど。原題『Une fille facile』は簡単な女(=尻軽女)という意味なので、ソフィアというキャラそのものは意図したとおりだと思うのだが、一体このキャラを通じて、何を表現したいのだろうか。

また、女子高生がちょっと気に入った中年男性とのやり取りもイマイチ中途半端。もちろん、すぐに寝ちゃうようなチープな展開よりはいいのだが、何もなさ過ぎ。ブルワ・マジメルを起用してこれかあ、といった感じ。少しは仕事選べよ。ちょい役でクロティルド・クロー(ブノワ・マジメルの顧客役)も出演しているが、こんな映画に出すなよ。ヴェネツィア=ピエモンテ公妃だぞ。

ソフィアを演じたザヒア・ドゥハールは、演技というよりは、本人を地でいくようなキャラである。ネットを見ると「新時代のブリジット・バルドー」と呼ばれているらしいけれど、おいおい、その呼称はブリジット・バルドーにとんでもなく失礼だぞ。この女性は、ずいぶん前に騒がれたフランク・リベリやカリム・ベンゼマといったフランスを代表するサッカー選手との売春スキャンダルを起こしているモデルなので、本作のキャラにはぴったりなのだが、ブリジット・バルドーと同列に扱うなよ。

とにかく、個人的には、トホホな映画であった。
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