ゆずっきーに

三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実のゆずっきーにのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

私生活にすごく疲れる出来事があり、なにも書けず読めずで埒が明かないところに本作を鑑賞。悪くない気つけ薬にはなってくれたような、、!
恥ずかしながら三島作品は『金閣寺』を高校時代手に取ってみたきりで、それも途中で投げ出してしまい未読です。入門最適の書ってなんだろ…春の雪とか?おすすめあるよって人どこかにおられましたらアドバイスください、よろしくお願いします。

感想。討論は極めて難解で正直5割も拾えなかった。挿話や注釈、インタビューの補助線を丁寧に引いてもらっても自分の素養では展開に食らいつくのがやっとかそれすら叶わないのかな、というのが正直なところ。
楯の会の爺たちが三島から特に何も学び取ってなさそうなのはすごく良かった。芥はキレ者に違いないしいかにも賢そうだけど、結局は彼自身もまた体制に取って代わる秩序を示せていない様子だったし、オーディエンスの学生たちはなんかあんま話についていけてなさそうだし(失礼)、全体にスノッブなオンラインサロンの空気さえ感じ取ってしまった。
とはいえ三島個人にオンラインサロンの揶揄を向けるのはあまりにも失礼で、的確でもなく、彼の言葉からは確かな論理と思想が感じられた。
ペンが、言葉が力を持つ情熱の時代は確かに存在していた、翻って現代は言葉の力が一層衰弱している、そんなことを考えずにはいられなかった。

芯ある文章を書く若者が今のこの国にどれほどいるのか?ここで言う「文章」とは、半径5mの日常をなんかエモい感じに書き上げるサブカル崩れの文章ではなく、いいね!数と拝金主義的ブランド志向との狭間で必死に揺れ動き自らの尊厳を保とうとするSNSの投稿でもなく、個人と社会を一体と為し自他のあるべき姿を責任持って論じようとする、、そういった文章を指している。
私も何も書けない、いやそもそも書く前提を欠いている、空っぽな人間だけれども、せめてここを無知の知の出発地としたい。
魂を燃やし続けねばならない。
ゆずっきーに

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