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三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実のyaのレビュー・感想・評価

4.4
昨日テレビで流れたCMを見て「絶対に熱い、刺激をもらうなら今自分はこれを見る以外ない」と思い、自粛中アニメも映画もほとんど見ていなかった引きこもりが久しぶりの映画館に足を運んだ。

私は三島由紀夫の小説を読んだことがないし、生涯についてもこの映画のHPで撫ぜた程度だけど、とてもスッキリした行動家であり心身ともに見つめ直すことができる"カリスマ"だったんだという印象。
一方の全共闘側も「近代ゴリラ」と揶揄し、飼育料と銘打って駒場900番教室の入場料を定めていたが、話題性として演じた言葉であり「心身共に教室へ持ち込み話し合うことができる喜び」もその実あったに違いない。討論をする人も聞く人も高揚し、50年後映像として見ている私も常に心臓が自分にしか聞こえない大きな音を立てていた。芥氏に惹かれるのは近いカリスマ性があるからか?
これは自分の話だけど、自分を惨めに感じる時の一つは"言語化できない時ではなくて言語化できていることを発言するのを許されないと感じる時"だと思っていて、実際全共闘側は機動隊による"鎮静化"を受けたりしていたし言論による意思疎通の場ができたことは一部救いだったんじゃないかと思う

対立はそれぞれの名前、属性、殻がぶつかり合うことであって、何が共通し何が違うのかを曖昧に刺し合うのは簡単ではないはずなのにいつの間にか慣れてきてしまっている。それも言葉で刺し合うことに。
SNS、客への対応等、対人であるはずなのに自分が見慣れ認識していた「言葉の決闘」とは随分違って、真摯で芸術的で本質的な「言葉の決闘」だった。

討論を「愉快だった」と振り返った三島由紀夫がのちに有言実行・意志貫徹し自決する理由のカケラ程は解るかもしれない。

これTVではなく映画館でやるドキュメンタリーなのか、、とは思いつつ自粛していた劇場に行けたしいいかという気持ち。観てよかった
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