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三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実のmayaのレビュー・感想・評価

4.1
当時の映像のアツさはもちろん、解説する方々も名だたる哲学者で激アツ。
芥氏の去り際、三島の主張が、三島本人の絶望を滲ませるのが切ない。
宮崎駿はこの時代を経て「楽園は地上に無い」と結論づけたというが、その後生き残った全員の、今も祭りのあとの手持ち無沙汰のままの空気が、私にはひどくやり切れなく、しかし慣れ親しんだものに感じられる。革命や運動というものがもたらす犠牲と、対する利益の少なさを嫌というほどメディアで刷り込まれた世代としては、橋爪氏の「負けた、その後のことを考えないといけない」はとても納得がいく。だが、その後彼らはどこかに「消えてしまった」という。はっきりとは言及されなかったけど、これだけ優秀な東大生たちのその後の明らかにキャリアから外れた職業がわざわざ表記された時はじめて、「なるほど、これは私がよく知る日本社会の出来事だ」と思った。
「あやふやで猥褻な日本国」なんて、こんなに腑に落ちる言葉が聞けただけで、本作を観れて良かった。
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