Ryoma

彼女たちの革命前夜のRyomaのレビュー・感想・評価

彼女たちの革命前夜(2019年製作の映画)
4.4
男性は働いて女性は家にいる“という古いしきたり的悪習である家父長制を廃止させようと命懸けで奮闘した彼女らの姿勢にぐっときた。
近年、職場における女性の管理職登用の推奨や産休育休制度の整備、イクメンという言葉の普及や男性による育休の取得の増加など以前に比べれば男女平等という考え方が浸透しつつあるとはいえ、実際には体制を整備したと過剰に宣伝するだけで表面上のみ繕っている節もある気がする… 現実問題、男性による育休取得はそれほどまでに進んでいないだろうし、そういう意識付けや環境づくりみたいなものもあるのかもだけれど難しくて無理だとばかり言ってられない。
夫の許可なく避妊薬の投与が叶わないとか、ミスワールドのように男性主体の男性による男性のために思えるイベントがあったり、実際このような社会になってしまっていたことは知らなかったけれど、知らないこと自体が罪だと感じるほどに衝撃的だった。
出場者は長年夢見ていたコンテストだとしても、その一方、男性主体の主催者はそんな彼女らと大衆の気持ちを利用しているようにも見えたり…winwinの関係を築いているように見えて女性を間接的に搾取しているようにも思えるこの仕組み。実際には複雑にそれぞれの思惑が絡み合って成り立っているやうな関係性なのかも… “アイドル“という概念もそれに似た類いの需要と供給なるものが存在し成立するものであって、知らないだけで世の中はそんな不条理というか理解しがたい仕組みで成り立っていることは数えきれないんだろうなと感じた。
性別だけでなく人種において人権を侵害される劇中の人たちを見ていると、同じ世界に住んでいながらも、ホントに腐敗した荒んだ世界だな感じたしまった。
どうしても外見で判断されがちなミスワールド。ミスワールドに限らず人の第一印象は外見に目がいくと言われているしそれに重きを置く人もいるのかもしれないけれど、劇中のキーラナイトレイらが叫び訴えるように人間のいいところは相手の美点を感じ取れること、視野を広く持ち誰もが性別や人種の違いを気にせず幸せに暮らすことだと思うし、綺麗事かもしれないけれど、そういう気持ちを持とうとすること自体がよりよい社会になる第一歩になるのではと感じた。
本作を女性監督が撮ったというのも大いに意義があるのだと思った。知っておかなければいけない事実だったし、女性はもちろん自分を含めた男性に観てほしい作品だなと感じた。
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