心の浄化の泪。
まるで短編小説を読んでいるかのような錯覚に陥る。
オムニバス形式で、室蘭の四季とそこで生きる人々の時間の断片を実話も織り混ぜながら描く。
詩的で非常に美しい映像と、美しいショット。
流れる音の調べ。すべてが静謐。
静かな空とともにゆったりと流れる時空。
変わりゆく季節、変わらざるを得ない街、
瑞々しい時間と枯れゆく時間。
生と死。
そんな中で悠久の時を感じさせる地層、自然。
何かが何かを育んで何かを紡いでいく。
人の営みは短いけれど、幾年も幾層にも積み重なり、
人はやがて大地に還ってゆく。
独立した章立てではあるものの、場所や人物は少しずつ繋がっていて、どの章も素敵だったけれど、、
他とはどこか一線を画す幻想的な冬の章と、
琴線に触れた最後の2章かな。
特に晩秋。
最後は自分でも驚くくらいに滂沱の涙。
やられた。
モノクロームとカラーを織り混ぜ、画角も変化させて、時空を 人を 想いを飛び越える。
室蘭市民の方々も参加、クラファンで資金調達しての7年の歳月を経ての公開。
初日に続き監督の舞台挨拶付きもあってか満席。
(坂本さんのお年を聞いてびっくり。)
ロケ地は殆どが更地になってしまったそうで、、それがより一層侘び寂びの空気を醸し出す。
前売り購入→コロナで公開延期+岩波ホール改修工事→今日。
期待と待たされた分、感慨一入。
好きな世界観なので大甘な点数。
室蘭、風が強いから風力発電なんだな。
小松政夫さん、大杉漣さん に合掌。