記録。
もう一度、君を好きになる。
言わずと知れた『耳をすませば』の10年後を描く実写映画。主演は月島雫役に清野菜名、天沢聖司役に松坂桃李。
やや否よりの意見が目立つ作品ですが、
ハードルを地底奥底まで下げてたのが幸いしてか意外と観れました。
ザックリいうと、
日本の出版社で編集者として働きながらも物書きの夢を追い続ける雫と、イタリアでチェロ奏者として成功しながらも物足りなさを感じている聖司の10年にも及ぶ遠距離恋愛(!)の行く末を描く映画です。
印象としては、フっと息を吹きかけたらどっかに飛んでってしまいそうな薄くて軽い映画。これは平川監督の過去作『記憶屋』を観た時とほぼ同じでした。
世の中には”やるべきじゃない事”というものがあります。僕の中ではこの作品もそう。
これを観に行くくらいなんで当然ジブリ版は観てますし好きな作品でもあります。分からないのはこの作品の立ち位置。というか存在意義。
どうやら原作漫画準拠という訳でも無さそうな上、別物と切り離して観るにはあまりにもジブリ版に寄りすぎています。
それなのに施されている設定変更の意図ってなんでしょうね。具体的には聖司のチェロ奏者へのジョブチェンジ。ヴァイオリン職人だと画が地味だからでしょうか。それともあの安いメロドラマを描くためにカルテットが必要だったからでしょうか。
案外「カントリー・ロード」じゃない事は気になりませんでした。寧ろ映画の内容からすると「翼をください」で良いまである。歌ってるのが杏なのは謎でしたけど。
鬱陶しいくらいに挿入される過去回想はまんまジブリですね。人物の振る舞いとかやたらアニメっぽいのが鼻につく。アニメと同じ手法を実写に持ち込むことの寒々しさに居心地の悪さすら感じました。
そもそも論なんですが、”その先”を描かない美しさというものがあるでしょう。25歳の雫のあんな姿観たいでしょうか。観にいったお前が言うなって感じですがw
演者さんは良かったのでいくらか加点してますが、”日本中がまた恋をする”作品とは程遠い気がしました。