深獣九

バトル・インフェルノの深獣九のレビュー・感想・評価

バトル・インフェルノ(2019年製作の映画)
3.5
アップデート悪魔。SNSネイティブ魔王爆誕。

配信のヤラセ除霊番組に本物降臨! やつはなんのために現れたのか? 全世界の視聴者が見守る中、偽神父 vs 魔王の壮絶なバトルが今始まる!

というのではなく、やっぱり悪魔は強いのであった、人間はボコボコにされるのであった。

※以降たぶんネタバレ








今回の悪魔はよく勉強しており、いまの世の中ではどうしたら効果的に人類を堕落させられるか、破滅に導けるかを知っている模様。

「ひとりひとりに憑依するなんてコスパもタイパも悪いよね」
「えー? じゃあテレビに出るとか?」
「テレビなんか古いっしょ。いまはインターネットの時代よ」
「いやいや、それはそうだけどいまは……」

という会議を経て、この番組に悪魔が来たりてピーヒャラするわけです。

そう思うとこの作品の教訓的なところは、昔から変わらないものでも、創意工夫によってアップデートできるということ。
幻覚を見せて相手を操ったり、人質を取って言うことを聞かせたり、強力なところはそのままでいい。さらに、どうしたら現代でそれがより効果的になるのか、テクノロジーとうまく融合できないか、と研究を重ねることが大切だと。その結果、今回のようなカタストロフを引き起こすこともできるのだと。そういう学びのある作品なのです。

ちょっとしたやり方で30年前の物がまたヒットする、というあれですね。

方や人間は、呪文を唱えたり聖水をかけたり十字架を見せつけたりと、昔からのやり方そのまま。暗い部屋でローソク焚いて、雰囲気作ったりね。それじゃあ勝てるわけないですよね。

そういう意味では、監督はじめ製作スタッフは悪魔側にいたと言えますね。有能なアドバイザーだったと思います。この裏切り者め!

憑依された女性の特殊メイクと芝居や、火だるま丸焦げ男、ギャルだけど実は頼りになる、など見どころもたくさんあります。悪魔イヌの造形も好きだった。

タイトルから、マッチョ神父と悪魔の壮絶バトルを期待してたのは肩透かしだったし、悪魔によるヤラセユーチューバー制裁物語(ひょっとして神様?)とも違ったし、悪魔がちょっかいかけに来ただけかな? と思ったのも違ったのだけど、人間の心に潜む闇と救いが卓袱台返しされるいつもの展開は、それなりに面白かった。

秋の夜長にぜひ。
深獣九

深獣九