けーすけ

さんかく窓の外側は夜のけーすけのレビュー・感想・評価

さんかく窓の外側は夜(2021年製作の映画)
3.5
三角康介(志尊淳)は幼い頃からから幽霊が見える体質であった。ある日、仕事中に冷川理人(岡田将生)から声をかけられる。冷川は除霊を仕事としているものの、霊の姿をはっきり捉える事はできなかったのだが、三角に触れていると霊が見えるようになったのだ。二人はコンビを組み除霊の仕事を始める事になった。そんな時、刑事の半澤(滝藤賢一)から連続殺人の調査依頼を受け、二人は遺体を発見したのだが、その裏に“ヒウラエリカ”という人物が関わっている事を知る。果たして事件の真相は一体誰が握っているのか・・・







“幽霊”や“除霊”とオカルト感が満載なので「これは地雷かな…」と少し心配でしたが想像以上に楽しめました。
レイティングがPG12指定という事で、死体や肉体損壊、殺人、血といった描写がそこそこにあります。ホラー的ビビらせはありませんでした。



三角は幽霊が見えるだけ、冷川は見る力はほぼ無いものの除霊はできる。そんな二人が力を合わせて除霊や、事件解決に挑むバディものとして前半は描かれます。
冷川は三角に触れるだけで霊が見えるようになるのですが、わざわざバックハグで三角の胸に手を当てるのがどことなくBLチック。二人とも顔立ちが綺麗なので映えておりましたね。笑


刑事の半澤からの調査依頼でバラバラ殺人で見つかっていない身体を探すという序盤のヤマ場。そしてその事件や、過去に起きた事件でもヒウラエリカという名前の人物が浮上してくる。一体ヒウラエリカとは何者なのか?
このあたりミステリー・サスペンス感がヒシヒシ出ていて引き込まれます。(警察がこっそりとはいえ未解決凶悪事件の機密情報を民間人に依頼するという部分はご愛敬)


ただ、三角の小学生の頃の出来事や、同じく冷川の幼少の頃の出来事がクライマックスに関わってくるのですが、無理やり繋いだ感じがあり、あまり感情移入できなかったのが残念だったところ。
中盤まではかなり良かったのですが、あれこれ話を広げて終盤にちょっと失速してしまった印象がありました。


「死ね」や「殺す」といった言葉は言霊となって人に刺さる、といった内容や、「生きてる人間が一番怖い」という昔からよく言われ続けている事を練り込んだ話の作りは面白かったです。




呪いや穢れなど、オカルトホラーな題材は一歩間違えると超B級な映画になってしまいそうでしたが、幽霊の見せ方もほどほどに不気味で安っぽさはなく、映画全体の美術もスタイリッシュな部分があり印象的でした。
何より主演二人の演技が良く、謎の過去を持つ冷川を演じた岡田将生のクールで何を考えているのか分からない雰囲気のキャラや、三角役である志尊淳の弱々しい感じの演技がズバっとハマっております。

また、幽霊など一切信じないという刑事の半澤日路輝を演じた滝藤賢一もハマり役。この3人が映画を盛り立てていたと言って過言ではないかと思います。


謎の女子高生・ヒウラエリカ(非浦英莉可)を演じた平手友梨奈も中盤より参加となるのですが、人を見透かしたような目力とその存在感ある演技は、“元アイドル”というくくりは最早不要でしょう。終盤には触手的緊縛シーンもあるのでご注目!

なお、北川景子も登場しますが、驚きのいきなり退場でした笑



「ずっと真夜中でいいのに。」のOP、ED曲もハマっており、劇伴も印象的。そして役者の演技を見て楽しめる映画として、想像以上に良かったです。



2021/01/22(金) T・ジョイPRINCE 品川 シアター3 10:55回にて鑑賞。H-12
[2021-010]
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