風来坊

グレート・ウォーの風来坊のレビュー・感想・評価

グレート・ウォー(2019年製作の映画)
3.0
他のレビュワーの方も仰っていますが、ストーリーと設定ともに「プライベートライアン」に似ています。
ただ圧倒的に予算が足りず「プライベートライアン」のようなリアルさと迫力には遠く及びません…。

救出対象が黒人部隊で救出しに行くのが白人部隊という人種の壁を越えたところは新しさを感じます。
戦争中の非常時でも人種差別があったというところに切り込んだのは、今でも続くアメリカでの黒人差別に対するメッセージ性がありそこは評価したいが…。

良作もあるけれど、そもそもB級の低予算で戦争映画に挑む時点でハードルが高い。映像は綺麗なもののCGや小道具とかの部分でチープさを隠せずにリアルさがイマイチ…。

何処かで見た顔もありますが役者は知らない人達ばかり、ビリー・ゼーンさん、ロン・パールマンさんが有名どころとしてゲスト出演しています。
やっぱり有名どころが出ると「おっ」という感じにはなるので、ゲスト出演の意味はあるのかなと思います。

主人公の大尉役の俳優さんがどうしても野暮ったく華がない…。精神に異常を来しているという設定だとしても軍人らしさ大佐らしさがなく締まりがない。ただ人間味あるというか優しさはある感じで、この辺も「プライベートライアン」の主人公に寄せたかと思う。

所々に感動煽りがあるがちょっと的外れで感情を揺さぶられない。
ハゲタカの件は自業自得だし、咎めた兵士の方が可哀想。
黒人軍曹の意固地さも理解出来ない…。迫害された過去は分かるがそんなに卑屈にならんでも…この黒人軍曹の考えもある意味差別と思う。

B級戦争映画の特徴の1つですが予算の都合上か戦闘シーンよりも会話シーンが多いです。
ただ終戦直前で領土拡大の各国の小競り合いの小規模な戦闘ということで逃げ道はある感じ。

途中の熱い台詞とかはなかなかなんですが、そもそも絆を深めるシーンが少ない為にどうも説得力が足りずに残念。
少人数で相手を迎え撃つ負け戦のような悲愴感はあってそれは悪くないかなと思います。

他の方も指摘してますが軍曹のスキットルにどんだけ酒入っとんねん!と笑ってしまう。途中で足したにしても何処で調達してきたんだ(笑)
兵士の気概や心意気には感服しますが、どうしても不毛な戦いに見えてしまうのが残念なところ。まあ戦争なんて不毛な物なのですが…。

クライマックスの戦いはB級としてはそれなりに見応えがありますし、最後の泣かせる手段も唐突過ぎるがまずまず。
すこぶる面白い訳でもなくすこぶる心を揺さぶられる訳でもない戦争映画ですがそれなりには観れる作品でした。

まとめの一言
「一緒に戦った事が誇り」
風来坊

風来坊