KnightsofOdessa

カイル&マイク 俺たちの人生は上り坂のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

2.5
[中年男性版『Fourteen』だが…] 50点

女どうしの変わらぬ友情と関係性の変質を描いた大傑作『Fourteen』を思い出すなどしていたが、こちらはどちらかというとコメディ寄りな作品。中年おじさんカイルとマイクの切っても切れない友情関係を描いた作品だが、同作におけるマーラとジョーの関係性と似ている部分も多いし、ワンシーンワンショットという技法まで似通っている。本作品における自分本位なマイクと優柔不断なカイルの関係性は、マイクがカイルの婚約者と寝取った報告をする冒頭で明らかになる。マイクはカイルが自分との時間を取ってくれなくなることを恐れているようにも見えるが、マイクの具体的な行動を見る限り自分より鈍臭くて劣っているカイルが自分よりも幸せになるのが許せないというようにも見えてくる。いずれにせよ、どのタイミングでもカイルの人生について余計なことしかせず、不出来な兄のような立ち位置から粘着質で面倒な中年の"友情"を描いている。その点で、『Fourteen』のような爽やかな絶望感とは程遠い感情を味わうことになる。ただ、全体的に凡庸で、突出してマイクがウザいというだけで特に見どころがないのが残念。

二人の人生が交錯する7つの瞬間を切り取っているのでカットごとに時間が飛躍するのも『Fourteen』そっくりだが、異様に長い(疑似)長回しを使っているという点で異なる。この長回しが上手く機能しているかというと微妙だが、マイクという存在が長回しのゲーム性によって中和されているのでギリ見ていられるのがせめてもの救い。映画館のシーンで上映されてたのがピエール・エテックス『大恋愛』ってとこでちょっとだけ加点したけど、結構あざといよね。
KnightsofOdessa

KnightsofOdessa