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カイル&マイク 俺たちの人生は上り坂のSPNminacoのレビュー・感想・評価

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ピレネー辺りの山道を自転車で登る途中、結婚間近のカイルが親友マイクから衝撃の告白。そこから始まる、2人の上がったり下がったり太ったり痩せたりの人生模様。
自転車は上り坂がきつく、下りは楽チン。カイルの下りはマイクの上り。神様は人生に下り坂と同じ数だけ上り坂を与えた…いや正確には、常にマイクがカイルの幸せを邪魔するせいだ。なのに何度別れても同じ道を並走する2人。ああ面倒臭いこじらせブロマンス。マイクにとってカイルは風除けなのか。並んでアイス食べてる老人は将来の姿か。
章立て構成で、各エピソードが連作コントというか小噺みたいだ。カメラはほぼ1シーン1カットでゆっくり移動し、フレームの内と外で何かが起きる。敢えてフレームを外した所から意外な光景が現れたり、時間や場所を移動したり、シームレスに続く一連の出来事の奇妙な間合いが醸し出す可笑しみ。更に章ごとに懐メロポップス、民謡やゴスペル、ダンスやシンクロナイズド・スキーまで挟む不条理にトボけた脱力感。
絶妙に計算されたタイミングが巧いんだけど、ずっとそのパターンが繰り返されるとちょっと飽きてしまった。アメリカ映画でもアメリカらしい風景が登場せず、秋冬の季節感で何となく北欧映画を観てるみたいな。というか、シネフィルが憧れる欧州映画っぽい。そのせいか一つ一つの要素に既視感があり、様式がアップデートされないまま少し古臭く思えた。
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