もこもも

グランド・ジャーニーのもこもものレビュー・感想・評価

グランド・ジャーニー(2019年製作の映画)
4.5
父・クリスチャンと息子・トマの驚くべき挑戦と、トマと絶滅危惧種の渡り鳥である雁との奇跡の旅を圧倒的な映像美と共に描いた実話に基づく作品

なんて美しい映画なんや...
素敵が詰まりすぎてる
壮観な大自然、美しいストーリー、家族愛に心が洗われて感動する素晴らしい名作だった

ノルウェーからフランスまでの旅路は目を奪われるほどの美しい光景で広がっていて、クリスチャンとトマが同じ目標を持って努力する様子や、徐々に打ち解けていく2人の関係が堪らなく愛おしかった

上司の注意も聞かず雁の絶滅を回避する為の研究に熱心なクリスチャンのもとへ離れて暮らす息子・トマが休暇を利用して訪れる
Wi-Fiもない環境に不満を抱いていたトマだったが、雁の孵化に立ち合うことで雁に愛情を抱き、絶滅回避の為に超軽量飛行機を使ってノルウェーからフランスまでの安全な飛行ルートを教える計画を手伝うことに...

この作品が実話に基づいている点も、撮影にCGをほとんど使っていない点にも驚きを隠せない
孵化したばかりの雁がトマの後ろをついてよちよち歩く様子が堪らなく可愛いかった
その後も愛情を抱いてしっかり世話をするトマの様子に感情移入して雁がトマに泳いでついていくシーンは胸が温かくなった

父であるクリスチャンについて出発地点であるノルウェーに向かうが、雁の検査結果が陽性だったことやクリスチャンが承認を偽装していたことにより雁を没収されそうになり、トマは単独判断で雁を引き連れて飛び立つことでトマと雁の旅が始まる...

空を初めて飛んだ雁のシーンも胸が温かくなる
クリスチャンがしようとしていることは何も悪いことではないけど、そこに幾つもの承認を得なければならないところが社会の複雑な所
環境問題も一つのテーマとして扱われていて、この美しい景色を観ると考えさせられるものがあった

燃料や食料の不足、不安定な天候など多くのトラブルがあるものの最後まで諦めずに到着地点である南仏へ辿り着き少年の旅は幕を閉じる...

最初は激怒していた母・パオラも息子を応援するようになって、子供としてではなく一人前の男として信頼する親の心の成長にも感動した
息子の大冒険をきっかけにパオラとクリスチャンが寄りを戻すという家族愛や家族の再生、そしてトマの行動が多くの人の心を動かして沢山の人が応援する様子にも胸が熱くなった

「みんなとの最後の旅だ 
 次に飛ぶ時 僕はいない
 モーター音も聞こえない
 こんな感じだ...」

ここのシーンはあまりに神秘的で美しかった
雁がトマのもとへ帰ってくるラストシーンも感動
エンドロールで流れる夫婦の飛行シーンも素敵

「ヨーロッパでは
 30年で4億2千万羽の鳥が消え、
 アスファルトの面積は増え続けている
 自然と生きる民族はこう教える
 "地球は我々のものではない
子孫からの借りものだ"」
もこもも

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