TAK44マグナム

ゼイ・リーチ-未知からの侵略者-のTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

2.7
悪魔に魅入られし少女。


最近のホラー映画における1つの潮流に「80年代への回帰」があると思います。
「IT/イット"それ"が見えたら、終わり。」やドラマシリーズの「ストレンジャーシングス未知の世界」のヒットもあって、「あの頃の少年少女」を主人公とした作品が何作か製作されています。
そして、本作もその中のひとつ。
舞台となるのは1979年のとある街です。


街中から期待されたほどのアメフトプレーヤーであった兄を失った少女。
女の子なのにロボットの玩具を大切にし、機械いじりに夢中の彼女は骨董店で古いテープレコーダーを入手する。
しかし、それは10年前に「悪魔」が封印された恐るべきテープだった。
かくして少女の血が悪魔を復活させてしまい、家族どころか友人や街の人々に危険が迫る。
はたして再び、悪魔を封じることは出来るのであろうか・・・?


てっきりジャケットの雰囲気から宇宙や異次元からの侵略者の話かと思ったら(触手が出てこないのには閉口)、悪魔憑きが題材でした。
観終わって思ったのは、「普通すぎるジュブナイル」(汗)
中盤までは不穏なムードもあって良かったんですが、後半はひたすら雑な作りが目につきました。
なんだろう?まず、1979年という舞台設定にあまり意味がないんですよね。
序盤こそ、主人公たちの会話に「スターウォーズ」や「エイリアン」の話が出てきたり、部屋に「未知との遭遇」や「エイリアン」のリプリーのポスターが貼ってあったりしてオジサンの魂に火がつきかけましたましたが、それ以降は時代的なネタはほぼ無かったと思います。
ただたんにノスタルジーを感じさせたいがための設定だったのでしょうか?
必要の無さそうなシーンも多く、子供たちの会話もどこか「ねちっこい」。
最後までノレずに終わってしまいました。

悪魔も凶暴なんですけれど、はっきりとは正体もよくわからない。
人が襲われても、「うわー!」と引きずりこまれて血がドバッと散ってオシマイ。
首チョンパも直接には見せてくれません。
ジュブナイルものってことでゴア描写は薄めにしたのかもしれませんが、血だけはバケツでかけたように出ます。
クライマックスもサラッと薄味。
パパッと終わってしまいます。
「え?そんな簡単なことで解決?」と苦笑いでしたよ。
恐怖描写で怖かったのは、悪魔に憑かれた母親の後ろ姿だけかな。
永井豪先生の「ススムちゃん大ショック」のラストを思い起こす不穏さで、もしも全編あんな感じだったなら傑作になったかもしれません。

いつの間にか人が死んでいたりするのは、明らかに編集がおかしいところがありますね。
「もしかしておさえのカットを撮っていないのでは?」などと疑ってしまうぐらい、いきなり胸に杭が刺さって死んでいたりします。
こういうのは正直、萎えますよ。

もっと主人公のスキルを活かしたり、淡いロマンスに焦点をあてたりしても良かったんですが、芋ライトや恋話も中途半端。
兄を亡くしていることも家族との距離感も同様。学校での様子も体育の時間ぐらいで全然描かれず。
ダンスパーティーが阿鼻叫喚の危機に陥るとか、何かドカンと一発ほしかった。
(ちょっとだけ出てきた嫌味なカップルは何だったのか?)
図書館司書のオバさんのご都合主義的なキャラクターは一周回って笑ってしまいましたけれど。


正直、つまらなくもないけれど面白くもない、非常に困るタイプの映画(汗)
記憶に残る作品かどうかは微妙ですが、唯一、主演のメアリー・マデリン・ローは魅力的な女優さんでした。
単純に可愛いし、目力がありつつも儚い雰囲気も持っている。
あと、スラリとした健康的な美脚が目を惹きました。
大人になって、作品にさえ恵まれれば女優として大成するのではないでしょうか。
この先も楽しみな女優さんですね。

総括すると、もう少しテンションをあげてもバチは当たらないと思った次第です。


レンタルDVD(GEO)にて