なべ

マリグナント 狂暴な悪夢のなべのレビュー・感想・評価

マリグナント 狂暴な悪夢(2021年製作の映画)
3.3
 なるほど。確かにジェームズ・ワンらしい映画。
 世間では新感覚ホラーにカテゴライズされてるようだけど、「イット・フォローズ」や「透明人間」で得たような新しさはちっとも感じられなかった。シネコン側が一番小さなスクリーンをセレクトしてる時点で気づくべきだったんだけど、「ジェームズ・ワンの新作なのに、劇場はわかってねえな」と息巻いて乗り込んじゃったw 劇場側はちゃんとわかってたようだ。
 曲がる関節? 塗り変わる景色? そんな描写はジェームズ・ワンならできて当たり前。褒めるほどではない。予告編がおもしろそうだったので騙された。
 てか、これデ・パルマの「悪魔のシスター」じゃん。ブラックジャックのピノコじゃん。キングの「ダーク・ハーフ」じゃん。古いよ。ネタとしては旧感覚だよ!
 だいたいプロローグでネタバレってどうなの?「切除せねば」って言っちゃダメだって。いくら観客がバカになったからって、そこまでみくびられるとちょっと不快。
 最初に話が読めちゃったせいで、攫われたツアーガイドが誰かも見当ついたし、もちろんガブリエルの正体なんてバレバレ。ツボを押さえたこなれた演出だったからそれなりにおもしろく観られたけど、新鮮味はまるでなし。散々使い古されたネタだと知らない10代ならともかく、映画ファンと自称する人ならすぐに看破したよね?
 そもそもバニシングツイン(キメラ)ってアイディアを使うなら、これまで見たことも聞いたこともない演出にしてくれないと(ぱっくり割れて現れたり消えたりするのはおもしろい)。あ、若い観客はどうせ知らないだろうから、やっちゃえ!って感じ? なんかやだな、そういう舐めた態度は。
 「血の繋がった肉親が欲しいと思ってたけど、こんな近くにいたんだわ」なんてセリフがクライマックス出てきて、思わずのけぞったわ。日本のドラマか。火サスか。まあ、妹が裏のないいい子なのは新感覚だったけども。
 てか、この後、マディの裁判はかなり難航しそう。極刑は免れても有罪判決じゃないかなあ。一応決着したかのように見えたラストも…そういう幻想をガブリエルがマディソンに見せてたとかもう一捻りあってもよかったかな。
 配信されたらもう一度見るかもしれないけど、円盤は買わない。そういう3.3点でした。
なべ

なべ