サマセット7

マリグナント 狂暴な悪夢のサマセット7のレビュー・感想・評価

マリグナント 狂暴な悪夢(2021年製作の映画)
3.9
監督は「ソウ」「ワイルドスピードSKY MISSION」のジェームズ・ワン。
主演は「アナベル死霊館の人形」「ザマミー/呪われた砂漠の王女」のアナベル・ウォーリス。

[あらすじ]
マディソン(アナベル)は、夫から暴力を受け、一晩部屋に立て篭もる。
その晩、夫は自宅の下階で、殺人鬼に惨殺されてしまう。
マディソンは救出されて助かるも、それ以降、奇妙な悪夢を見るようになる。
一方、街では、医師を狙った連続殺人事件が発生するが、やがて事件はマディソンの夢と交差し…。

[情報]
傑作・良作を連発するエンタメ映画の風雲児ジェームズ・ワン監督の、現時点での最新作となるホラー映画。

ジェームズ・ワンは、初長編映画監督作である「ソウ」の監督・脚本で世界に名を知らしめた。
シチュエーションスリラーの新天地を開いた「ソウ」は大ヒットし、その後も「死霊館」「インシディアス」とホラー映画の良作を監督した。
これらの作品は、いずれも人気を集めてシリーズ化されている。
さらに、ジェームズ・ワンは「ワイルドスピードSKY MISSION」「アクアマン」と大作アクションの監督に挑み、いずれもそれぞれのシリーズの記録を塗り替える大ヒットと高評価を叩き出した。
未だ45歳(2022年時)と若く、今最も注目を集める監督の一人である。

今作は、「死霊館エンフィールド事件」以来のホラー映画監督作。
製作にストーリー原案もジェームズ・ワンの手による。

製作費不明、興収3300万ドル。
劇場公開と同時に配信開始、コロナの影響もあり、興行成績は今ひとつだったようだ。
ジャンル映画としては、批評家からはそこそこの評価を集めている。
一方、一般層の評価は割れている。
私の見たところ、一部のコア層から熱い支持を得るタイプの、いわゆるカルト作品という位置付けの作品だと思われる。

【注意】
今作は、一切の情報を入れない方が楽しめる類の作品である。
鑑賞予定があるなら、レビューなど読まずに、速やかに鑑賞することを勧める。

[見どころ]
予測の斜め上をいくストーリー展開!
まさしく奇想天外!!!
終盤の突き抜け感!!!
正直、見どころはたくさんあるが、ネタバレになるので言えません!!

[感想]
さすがはジェームズ・ワン。
普通のホラー映画なはずがなかった。

ネタバレなしで感想が言いにくい!
とにかく、面白い!!
特に終盤に入って、コトの全容を観客が把握した後の突き抜けっぷりはお見事!!

監督自身、大作の間の箸休め、と述べているとおり、決して高尚な作品ではない。
ただ、今作の本気のB級テイストや大ネタは、刺さる人にはぐさぐさ刺さるだろう。
私は楽しんだ。

[テーマ考]
今作は、ジャンル映画であり、テーマ性を論じるのも野暮であろう。

とはいえ、まじめに考えると、たしかに語るべきテーマがあるのだが、ネタバレになるので、語りにくい!!
要は、今作の殺人鬼は、普遍的なナニカのメタファーと捉えることができる、という話だ。

[まとめ]
俊英監督による、独自の工夫が凝らされた、カルト的エンタメ・ホラー映画の快作。

なお、今作が怖いか、と言われると、もちろん、怖い人には怖いだろうが、私には怖くなかった。
どちらかと言うと、今作は、恐怖以外のところに魅力のある作品かと思う。