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ミナリのlololoのネタバレレビュー・内容・結末

ミナリ(2020年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

誰の気持ちもよくわからない、お互いのことを大事にしたいのにうまくいかない家庭の居心地の悪さが、やけにリアルな映画だった。ずっと意志の疎通が出来ない感じというか、うまく言い表せない居心地の悪さ。それは家族だけでなく、家の外の人に対してもそう。映画を見ているはずなのに、友達の愚痴を延々聞かされているような心地にもなる。

夫婦2人は「家族のために」と言いながらすれ違い、デイヴィッドは何故か知らないけどおばあちゃんが苦手で、しっかり者の姉は“しっかり者の姉”でい続けねばならず、破天荒だったおばあちゃんは(まるでデイヴィッドに命を預けたかのように)脳卒中になって野菜の備蓄を燃やしてしまう…。いったい何の時間だったんだろう…何も解決してないし…。不思議な雰囲気だった。
だけどミナリ(セリ)は川辺で根強く生きていて、恐らくあの家族もそんな風にあの土地で生き続けて行くんだろう。

ただ結局のところ、移民の成功譚なのか家族の話なのか、病気の話なのか祖母賛歌なのか(この内容で「すべてのおばあちゃんに捧げる」と言われても…)、何を主に描きたかった映画なのかは、私にはよくわからなかった。でも、大きな賞や映画通、A24ファンに好かれそうな雰囲気があるのはわかる。

祖母役のユン・ヨジョン氏の演技すごかった。特に脳卒中になってからの虚ろな姿、痛々しさや脆さが本当に心配になる。
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