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ミナリのTAMUのレビュー・感想・評価

ミナリ(2020年製作の映画)
4.0
今でもあるのかもしれないが、80〜90年代にかけて多かったのかもしれない家族での移民。これを見て思い出したのは、日本のドラマ。『北の国から』であり、より強く思い出したのは『オレゴンから愛』。

ちょうどこんな感じの何もない感。
特にぶっきらぼうで信念の強いスティーブン・ユァン演じる父親像は、先に挙げた2作の父親と重なる。

スティーブン・ユァンは『バーニング 』とは真逆の力強い昭和の親父。自分の父親だと嫌かもだが、こういう男気溢れる父親に憧れるw

そして、それに振り回される妻にハン・イェリ。『海にかかる霧』では少女役だったのに、気づいてみたら母親か。あの海霧で鮮烈な印象を受けたシャープな瞳は本作でも光り、怒りと悲しみが、もの凄い伝わる。

新たな地に根を生やそうと奮闘する父親と、それに振り回される妻、そして子供たち。これ自体が今、多くの移民が根を張るアメリカの多くの家族のルーツなのかもしれない。

その中で、ひょうひょうと新天地にやってきて、自分らしく生きるお婆ちゃん、ユン・ヨジョンの姿はユニーク。
自分はヨジョン先輩大好きなので、登場するだけで嬉しいのだが、そのお茶目な行動がいちいち可愛いw

そして、タイトルにもあるミナリ(セリ)。
お婆ちゃんが小川を見つけて撒いた種から、いち早く根を張り家族を守ることとなった、力強い移民。

こうして今いられるのも、古くは何もない地で夢を実現しようと、家族を養おうと、開拓者となった多くの先代のお陰かもしれないと、そこはかとない幸福感に満たされる。
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