ワタナベ

ミナリのワタナベのレビュー・感想・評価

ミナリ(2020年製作の映画)
4.0
アメリカ・アーカンソー州に妻・娘・息子とともに越してきた韓国系移民のジェイコブが、農園を始めるという話。

自分の農園で生計を立てるという夢に邁進するジェイコブと、堅実な暮らし・子供たちが無事成長してくれる事を第一に考える妻モニカ。2人は度々衝突し、そのすれ違いの様子はとてもリアルで共感できるものだった。(息子の持病の診察に行く時に、炎天下の車の中に自分が育てた大事な野菜を置いておきたくない夫と、診察の邪魔だから車の中に置いておけと言う妻の衝突とか)そう考えると、男女のすれ違いというのは、いつの時代も、どの国でも共通で、こうやって物語にされるぐらい既知で、ありふれてるものなんだなと思った。そのくらいわかりきったものなら、今後は賢く回避していきたいものだ。

夫との軋轢と不満の多い新生活で疲弊したモニカの心の支えとするために新居に彼女の実母を呼ぶが、この母がまたクレイジーな側面が多々ある人物。それによって、今度は息子のデビットとの間に軋轢が生じる。それ以降はこの2人にスポットがあたる事が多くなる。田舎の景色がずっと映し出され、下手すれば眠くなる作品になりそうなところを、この母やジェイコブの農園でのパートナー・ポールのようなクレイジーなキャラが出てくる事で、コミカルなシーンも多々あり飽きさせない展開になっている。素晴らしい。そういうコミカルさが、大自然を舞台に展開されるこの物語の雰囲気を壊していないという点も見事だ。

小さいものから大きなものまで、衝突やトラブルがありながらも、家族はどうにかこうにか前へ進んで行く。

生きるって大変だな。夫婦って大変だな。家族って大変だな。でもどんな時でもなんやかんやどこかに希望はあるよねって話。
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