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ミナリのILLminoruvskyのレビュー・感想・評価

ミナリ(2020年製作の映画)
3.2
原題『Minari』

監督・脚本 : リー・アイザック・チョン
撮影 : ラクラン・ミルン
音楽 : エミール・モッセリ
出演 : スティーヴン・ユァン、ハン・イェリ、他

韓国系の移民二世で、アメリカの田舎町で育った監督が、自らの体験をもとに、1980年代のアメリカ南部アーカンソー州を舞台に、韓国出身の移民一家が理不尽な運命に翻弄されながらもたくましく生きる姿を描いた、半自伝的「家族」映画。

米国の地方に移住した、韓国がルーツの一家が農場経営を軌道に乗せようと悪戦苦闘する姿を、西部開拓時代の移民たちのように描き、ノスタルジックな演出は一切なく、夫婦間の対立、子どもたちの成長、新しいコミュニティへの参加など、一家が経験していく事柄は、国や時代を超えて普遍的な「移民」映画となっています。

祖母・スンジャが種を蒔き、アーカンソーの地に根を生やして大きく育つ「ミナリ(セリ)」。
そこには「たくましく地に根を張り、2度目の旬が最もおいしいことから、子供世代の幸せのために、親の世代が懸命に生きるという意味が込められている」
という「ミナリ(セリ)」に込められたメタファーがあり、そして、祖母の「ミナリは本当にワンダフルだよ」というメッセージが心に響く滋味映画でした。
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