荒れ地を開拓し農家として家族を養おうと決意し必死な夫。
そんな夫の計画に不満いっぱいの妻。
この夫婦は平気で子供の前で夫婦喧嘩する。
好感が持てるはずもなく、あまり表情もないこの二人に
初っ端から期待値が下がってしまった。
ところが、、、どんどんと世界観に引き込まれて行って
見終わった時の感情は何とも説明し難いものだった。
どんなに一生懸命がんばっても
掴みたい「幸せ」が無惨にも遠ざかることもある。
「おばあちゃんさえきてくれれば、、、」
こんな筋書きも頼りなくも散ってしまうこともある。
一方、デイビッドの持病があった心臓には奇跡が起きていた。
開いていた穴が塞がろうとしたいた。
「こうすれば幸せになれる」
なんてものは幻のようにさえ思う。
成功するも、失敗するも、ただそうなっただけ。
何かのせいでも誰のせいでもない。
病気が自然に治るのも、水源がダウジングで見つかってしまうのも
理屈じゃ説明できないことが起きることもある、というだけ。
手を加えなくてもたくましく育くミナリの葉のように
人間の私達も起こる出来事に漂いながら
もうすでに幸せはここにあるんだと気づければ
逞しく根をはり生きていけるのかな。
なかなか深い作品だった。