アー君

ミナリのアー君のレビュー・感想・評価

ミナリ(2020年製作の映画)
3.2
Amazonプライムで気にはかけていたが、タイミングが合わずやっとこさ観る事ができた。

ストーリーとしては地味な感じで人によって好き嫌い極端に分かれる作品である。少しクセのある祖母くらいしか面白味がなく退屈なところもあったが、ラストの展開が映画として盛り上げたのではないかと思われる。

しかし欲をいえば韓国(アジア)系移民としての問題や夫婦間(男女)の温度差を描いたのであれば、もう少し深掘りして欲しかったのが正直な意見である。

製作も兼ねたスティーブン・ユァンはホラー系のテレビドラマ出演の印象はあるが、今回の作品では自然体の父親や夫を演じており、アカデミー賞の候補になったのは頷ける気もする。(賞を獲ったのは助演のユン・ヨジョンではあったが、保守的なアカデミーに一石を投じたのは事実である。)

祖母から孫に見せた花札[韓国語では花闘(ファトウ)と呼ばれる]の表面には芒(ススキ)のカスが映されており、最後に起きる伏線として暗に示しており、構成としては見せ場であった。

ちなみに韓国の花札は日本からのルーツであり、植民地時代に広まったゲームである。

あとジュースのイタズラの件だが、昔自販機の近くに飲料水に毒物を入れて死亡事件があったので個人的にあまり好ましくないシーンではあった。

この映画の背景として描かれている韓国系アメリカ人移民の多くは、1960年代から1980年代にかけて始まっており、現在でも続いている。母国の経済的な発展や政治的な不安定さのため、韓国からアメリカに移住が主な理由である。また学術研究やビジネスチャンスを求めて移民することもあった。
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