きりま

ミナリのきりまのネタバレレビュー・内容・結末

ミナリ(2020年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ミナリ

韓国系移民の監督が実話をもとに描いた、韓国系移民家族の物語。
アメリカの地で韓国野菜を0から育てて成功しようとしている父。もちろん家族を大切にしているが、その野望は大きく、成功した姿を子どもたちに見せることにこだわっていた。
そう甘くなく、生活は困窮の一途を辿り、祖母が同棲することになる。ここから家族一人ひとりの感情が大きく揺さぶられていく。家族それぞれの目線、それを外れるおばあちゃんの独特な(なぜかガキっぽい)目線。おばあちゃんをだんだん認めていくデビット(孫)。
おばあちゃんの3段階の変化に、モヤモヤと心が振り回された。①「おばあちゃんらしくない」像、②「やっぱり頼れる」像、③「ボケてしまって不穏な」像。
家族それぞれに思いがあるという点と、車(というか車輪付きの家)で過ごすという点で『リトルミスサンシャイン』と似ていたが、決定的に違うのは、ずっと暗い。最後に差し掛かるにつれてもっともっと暗くなる。でもバッドエンドではなかった。川辺におばあちゃんが植えたミナリが豊かに生い茂る様子に父が希望を捨てていない様子が投影されて終わる。
最後の農家小屋が燃えるシーンで、お母さんが絶望の顔をしていたのが印象的。やっぱり農業も諦めていたわけではなかったんだということと、旦那への同情が残っている様子が伝わってきた。その夜のおばあちゃんの目線カットは実に不穏。
韓国語と英語がちょうど半々くらいで使われている珍しい映画で、韓国映画らしい不穏さ・暗さが感じられた。エンドロールでブラピが裏方に入っててびっくり。
「ワンダフル ワンダフル ミナリ」デビットとおばあちゃん
2020★★★★
きりま

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