ワンコ

ゾッキのワンコのレビュー・感想・評価

ゾッキ(2021年製作の映画)
4.1
【ヒ・ミ・ツ】

昔、親友から、妻に離婚したいと言われたと悩みを打ち明けられたことがあった。

彼は妻のある事に気がついて、それは絶対に話さないまま、お墓まで持っていこうと自分で決めていたらしい。

でも、ある日、妻から、
「あなたが、それに気がついて、黙って知らないふりをしていることに、もう耐えられなくなったの‼️」
と…言われたのだと。

内容は差し控えるが、僕からしたら、彼が考えるほどシリアスには思えないし、それを黙っていたからといって彼女から嫌われるようなものでもない気はするし、複雑な気持ちで、実は、心の中では、ちょっと笑ってしまいそうだった。
僕は心の中で言っていた。
それは、きっと言い訳で、他に理由があるよ…って。

僕は、こんなふうに思ったことを、彼には黙ってお墓まで持っていくのだろうか😁

(以下ネタバレ)

この作品は、あのじいちゃんのヒミツの数ほどではないが、ヒ・ミ・ツの寄せ集めだ。

誰もが抱えてそうな、ちょっとしたヒミツから、思いがけず大ごとになりそうなものまで。

僕は子供の頃、家出しようと思って、途中で中止して戻ったことがある。

あのチャリの男と同じような感じだったと思う。

西に向かってチャリで旅立っても、何処かで帰る理由を探している。

拾ったエロ本。
柑橘泥棒。

一人っきりの職場で、明日の自分にご挨拶。
たまには、お〇〇こと書いてみたり。

不倫相手との逃避行前のドキドキ。
こっそり息子とのお別れ。
学校の幽霊だって、なんかヒミツを抱えてそうだった。
親子でお漏らししたこと。

伴くんにあげたゲーセンで取ったパンティー。
本田さんを好きだったこと。
本田さんを死んだ姉にしていたこと。
もしかしたら、伴くんは、本当のこと知ってたのに、言わなかったかもしれない。
言わないことで感謝してるかもしれないし。
でも、代わりに前島さんを遺影にして死なせたこと。

そんなこんなで、前島さんに偶然会って、運命の出会いのように感じたこと。
シンクロニシティだ。
そしたら、お墓に持っていくヒミツは増えてしまって、そういうこともヒミツになること。

そうヒミツはヒミツを呼ぶ。

でも、前島さんもなんか夫とのことはヒミツらしいし…。

そう、ヒミツは、もしかしたら、生きるモチベーションかもしれない。

話さなくても良いし、
知らなくても良いし。

そう思えば、ヒ・ミ・ツは色んな意味で潤滑油のような気もする。

みんなにも、ヒミツのあれやこれはあるだろう。
もしかして忘れかけていたヒミツも思い出すかもしれない…ノスタルジックなヒミツを。

なんか、楽しい映画だと思った。
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