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ゾッキのkuuのレビュー・感想・評価

ゾッキ(2021年製作の映画)
3.3
『ゾッキ』
製作年 2020年。上映時間 113分。
俳優の竹中直人、山田孝之、齊藤工が3人で共同監督を務めって、エンドロールで知った。
イオンエンターテイメントもそんな配給元あるの知る。
漫画家・大橋裕之の初期作品集『ゾッキA』『ゾッキB』を実写映画化したヒューマンコメディ。
舞台演出家・劇作家の倉持裕が脚本を手がけ、約30本の短編が収録された原作コミックから複数のエピソードを織り交ぜて構成。
ちょいムリがあるかな。
原作者・大橋の生まれ故郷である愛知県蒲郡市でロケを敢行し、ある特別な秘密を抱える人々が織りなす日常と、彼らに訪れる少し不思議な奇跡を描く。
吉岡里帆、鈴木福、満島真之介、松田龍平、國村隼ら多彩なキャストが個性豊かな登場人物たちを演じる。
ソコはスゴいよ。
シンガーソングライターのCharaが自身のキャリア初となる音楽監督を務め、息子HIMIとの共同制作・初デュエットで主題歌を担当。
知らんがな。
本作の制作から公開までの舞台裏を追ったドキュメンタリー『裏ゾッキ』も同時期に公開。

アンソロジー映画の問題点の一つは、様々な物語から、単純に消化しやすい部分のエンタメ以上の結論を導き出すこと。
大橋裕之の漫画を原作とする三人の俳優たちによる監督作品は、異色でありながら、倦怠感と、人はいかに秘密と嘘によって定義されうるかを残そうとするものでした。
しかし、短編が巧く繋がりを帯びてときめく、この瞬間がアンソロジーの醍醐味なのにチョイ肩透かしと個人的には感じた。

お話は、自分の秘密について孫娘と話し合いたい老人の話から始まり、迷子の男(松田龍平は優作を何度か思い出すがキャラ的にはヘタレ役)はチャリで(シティサイクル)と荷台には寝袋で出発し(途中拾ったエロ本をかごに入れ)、目的を見つけるまであてもなく走り続ける。
ビデオショップで働く隣人(鈴木福くん)は、毎朝自分宛の小さな付箋を貼るのが楽しみ。
まぁ居そうなチェリーボーイ学生二人は空想の妹について語り合うが、もう一方は妹に夢中になってしまう。
そして、夜の学校に侵入した父と息子は、父が青春を取り戻そうとする。
等々、各々のキャラ達が違知らないとこで大きな影響を与って人生を形成して欲しかったが、今作品はただ、スレ違いの異邦人でしかなかった。
ただ、似たようなコメディと少し違うのは、自然な雰囲気の中で、大部分が真顔で演じられていることは善かった。
多くの場合、登場人物やシナリオは、その狂気に自信を持って、大きく作られている。
しかし、今作品は、不安や自分の本性・感情を隠すことに終始した映画でした。
登場人物に困惑したり呆れたりするのではなく、彼らの苦境に共感し、その不条理さの中に日常を見出すことができる。
特に秀逸やったのは、斎藤工が監督し描いた、牧田と伴(この俳優さん夢に出てきそうなサイコキャラだが、ただのアホゥの兄ちゃん)という2人の学生時代の友人の物語。
牧田はその嘘を隠すため、そして架空の姉の物語を作り上げるために、ユーモラスで不条理な状況に陥り、ますます執着する伴くんを納得させようとするが、そのために自分の幸せは犠牲になってしまう。
面白おかしく見せたり、友だちを増やしたりするために、ある状況を作り出し、その結果、さらに孤独になってしまうという悲劇が、今作品にちょっとしたエッジを与えている。
この物語は、単に笑いを誘うだけでなく、人間性や、人生を単純に生きるのではなく、いかに考えすぎてしまうかについて、何らかのコメントを与えている。
この雰囲気は、すべての登場人物と物語に浸透しており、登場人物たちは互いに交差しているが、これがリンクする要素となっているが、各々のキャラの運命には関わりがないのは残念。
AV女優という一般的なイメージが、この点をさらに強調してる。
野郎は特に目標を達成するために外に出ることができるのに、その代わりにポルノに気を取られている。
自分自身に正直になれず、自分の行動を隠し、過去の軽率な行為にとらわれている。
ある夜、コウタ(竹原ピストル)と息子のマサルが学校に忍び込む。
しかし、いたずらをしているうちに、不気味な存在に出くわす。
一瞬、不安になるが、竹原の過剰なまでの演技がそれを払拭し、この映画は稀に見るコメディモード全開の作品となったが個人的には『何だかなぁ』って感じたかな。
現職俳優の監督トリオのアプローチに違いはあるが、映画の雰囲気は終始一貫してはいたし、それがこの映画の魅力を保つのに必要。
たまに露悪的な表現があることを除けば、繊細で穏やかなアプローチで、リラックスして見られる作品でした。
実際、それぞれのアイデアやテーマをもう少し掘り下げてもよかったのではないかと感じ、少し物足りなさを感じる部分もあったし、むちゃくちゃ面白いかと問われたら否。
まぁ現職俳優の監督作品としてはこんなもんかな。
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