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MINAMATAーミナマターのcookieのネタバレレビュー・内容・結末

MINAMATAーミナマター(2020年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

東京プレミア試写会にて夫と鑑賞。
製作・主演 ジョニー・デップ。
音楽 坂本龍一。

ジョニー・デップが演じるのは実在した報道カメラマン ユージン(見た目も本人に寄せている)。近年は現実離れしたキャラクターを演じるイメージが強かったが、それとはまた違った本気度が伝わってくる。

水俣病関連のニュースは当時テレビで流れていたので、子供ながらにおおまかには知っているつもりでいたが、全然分かっていなかったことに愕然とした。
公害に関心を持ち、風化させないことが本作の意義だと感じる。

↓この点で水俣病は「人類初」。
●食物連鎖から起きた中毒
●胎盤で毒物から守られるとされてきた胎児が影響を受けた中毒(胎児性水俣病)

母親の毒を全部吸い取って生まれてきた女性は、5時間かけて食事を摂らせてもらうという。家庭で大切に大切に育てられていた。

ユージンが取材するシーンに挿まれるモノクロの写真や動画。実際の映像なだけに、現実として迫ってくる。

水俣病に苦しむ家族たちに次第に受け入れられていったユージン。真摯に寄り添ったからこそ撮ることを許された母娘写真。

ユージンと水俣病のことを検索して見つけた、実子さんへの思いが溢れるユージンの声を聞いてまた涙💧
家庭人としてはダメ人間として描かれていたが、その声には深く慈しむ心が表れていた。

水俣病被害者救済法(特措法)が成立したのが2009年7月。法で定めた住民の健康調査は現在もまだ行われていないという。

水俣での先行上映が延期された理由を知ると、未だに癒えることのない水俣の人々の複雑な心情は、想像してもしきれないと感じる。

ピアノのメロディーが流れる中、世界各地の公害被害が映されるエンドロールも印象的だった。

雑誌「LIFE」が絡んでいるのも感慨深い。(編集長役 ビル・ナイ)

【notes】
●写真家としての二つの責任:被写体に対する責任、写真を見る人々に対しての責任
●水俣の家庭で振る舞われた食事を殆ど口にしなかったのは、戦争写真家として沖縄に従軍時の後遺症で咀嚼が困難となったため(映画では分からなかった)。
●ユージンが襲撃されたのはチッソ五井工場。映画での印象よりもずっと重篤な容態だったようだ。

日本人だからこそ、見て欲しい作品。
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