あき

死霊館 悪魔のせいなら、無罪。のあきのレビュー・感想・評価

3.5
実際に起きたアーニー・ジョンソン事件(1981)を元にした「死霊館」シリーズ最新作。
ジャパニーズホラーをはじめとした”作られた”ホラーは、創作ゆえに怖がらせる計算が働いているが、解けない計算式はないように、計算されたホラーは先が読めてしまうので結局全然怖くない。
強いて言えば”びっくり”するだけだ。
だから実話をベースにしたホラー「死霊館」シリーズは別物と思って毎回楽しみに観てる。
本作は「エクソシスト」的な作り込みが随所に見られるが、どちらかというと”ホラー”というより”スリラー”的要素の強い作品となっていて、家族愛をはじめとした愛情の大切さもしっかりと描かれたヒューマンドラマとなっている。
ただ、悪魔は常に”悪意”をベースに必ず描かれるが、神と悪魔の戦いは”光”と”闇”の対峙の隠喩であり、まだ世になにも存在しない太古の原初の世界は”闇”であり、”光”は後事的作為的存在であるにも関わらず、先に存在していた”闇”からしては後から現れた”光”によって駆逐された無念に対する自らの存在の復権をかけた戦いであり、”光”からすると獲得した立場を失う恐怖感を”敵”である闇を悪として描いているのだとも言え、立ち位置によって”悪”はどちらもなり得るのだ。
あき

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