豚肉丸

The Life and Death of a Porno Gang(英題)の豚肉丸のレビュー・感想・評価

4.6
前衛的ポルノ劇団がお金を稼ぐためにスナッフフィルムの撮影に協力するお話

気が滅入る。見るのに疲れた。

映画学校を卒業したての主人公がお金を借りてAVを撮影するも、その内容があまりにも馬鹿すぎて金を貸した人は激怒。なんやかんやあってお金を返済するためにポルノ劇団を設立し...という、半ドキュメンタリー的な構成の前半はコメディとして面白い。主人公の作るAVも馬鹿らしく(地球とSEXしたら怪しい草ができたけど、その草には淫乱効果があって...という内容)ストーリーのテンポも早いので、楽しみながら見ることができる。ポルノ劇団の内容もかなり前衛的で面白いのだが...
内容が内容なので世間からは大不評。劇団は迫害を受けて...って辺りから段々と雲行きが怪しくなる。

そして、スナッフフィルム撮影から映画の雰囲気が一気に変わる。主人公達が死とSEXに取り憑かれ、堕ちていく姿を見るのは非常に辛い。ゴア描写も現実にありそうなレベルのゴアで...本物のスナッフフィルム感が高く、気が滅入った。
スナッフフィルムの出演者は全員死を志願した人っていうのも辛さに拍車をかけている。セルビアの戦争の歴史が絡んできて非常に辛い...
序盤のコメディはどこに行ったのか、と思う程に終盤は暗くて重苦しい。見た後はどっと疲れが襲ってきた...

『セルビアン・フィルム』といいこの映画といい、セルビアという国が恐ろしく感じる。
『セルビアン・フィルム』も激ヤバ映画でしたが、あの映画はしっかりとお金がかかっていて...映像は綺麗で作り込まれていて、結構映画らしさを強調する演出が多かった。しかしこの映画はかなりアングラ感が強く、死とSEXに突き進んでいく物語はかなり強烈だった。映画としての面白さは『セルビアン・フィルム』が勝つけど、不快度やアングラ感はこの映画の方が勝っている。本当に最悪。
日本に上陸してほしいけど、内容的にも映像的にも間違いなく上陸は難しいよなぁ...上陸したところで画面の大半がモザイクだらけになるのは間違いない。
豚肉丸

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