ベビーパウダー山崎

濡れた賽ノ目のベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

濡れた賽ノ目(1974年製作の映画)
3.0
襖をガッと開けたら雪山で若い二人が裸で抱き合う濡れ場が差し込まれて、みたいなアヴァンギャルド、もう勘弁して欲しいと本気で思うが寒々しい海と凍えた山の狭間にある港町でもがく情念の男女をこれだけ堂々と映されてしまうと平日の昼間からポルノ映画館で見ておいて良かったとそれなりの満足感もあったりして、どこか『聖母観音大菩薩』っぽい若松孝二の腕力にしぶしぶ敬礼。
ここではない何処かへ逃げようとして決して辿り着けない、この田舎町から更に果てにあるシベリアを目指す不毛さ、ロマンポルノは人間の弱さ、人生は諦めと後悔しかないことを嫌でも教えてくれる。シネロマン池袋から出ると珍しく雪、ポルノ見てから白く塗り潰されたセックスと暴力の街、池袋西口を下向きながら歩いて帰る正月明け。2022年の映画が始まる。