「キャンプ場に豹がいる！」

嘘か真か、そんな噂が都市伝説的に語られるキャンプ場は今夏も大賑わい。全く気にせずに楽しむ若者たちに反し、動物の死体が毎日のように森の中で発見されるように…。そしてついには行方不明者が出る。豹がいる噂は本当なのか…？

そんなサマーキャンプ系スラッシャー＋アニマルパニックのような導入を見せる本作だけど、早い段階で既定路線を捨て去り予想外の方向に物語は転がり出す。

リリーローズ演じるティーンの主人公は作中で評される通り、人生に対して「生ける屍」のような状態。いとこ家族と一緒にキャンプにやって来た彼女は同年代のウェーイたちと一緒に行動しつつも、彼らとは大きな心的隔たりがあることが、遠のいていく喧騒と深く暗い森へひとりで目をやるという行動で示される。

虚構が現実を救う。背景事情が語られないので主人公がなぜ「生ける屍」状態なのかは詳しくはわからないのだけど、現実の中に自己の存在理由が見出せないというティーン特有の気怠さは端々から感じられる。信仰なり神話なりに傾倒することで、それを虚構の中に求めていく彼女の病的な感情は、ある意味では現実を捨て去ることにも思えてくるのだけど、虚構を求め、更には自身が虚構となることで自己だけでなく他者に対しても「救い」となり、それが自身の存在価値の獲得、そして現実への帰還へと繋がっていくというのが面白い。

彼女が求める先にいる父親くらい年齢の離れた作家の存在がそこに大きな意味をプラスし、ここではないどこかという虚構を求める心は、その実、ここではないどこかという現実を求めていたのだということがわかる。豹を生かし馬を殺すという自身の心に対する決着はそのまま人間的な荒々しいほどの生身の衝動を決定づけ、更には少女から「ちょっぴり大人」へと成長した自覚に酔いしれるという、ティーンだからこその（行き過ぎない）等身大な成長へと（豹の更に向こう側へと）帰結する落としどころが凄く良い。

結局は彼女が感じていた絶望すらも虚構だと嘲笑うかのような作風は、裏を返せば希望すらも虚構だと言う考えが透けて見え、そんなスイモアマイモ虚構の上に成り立つ人生の儚さっていうのが身に染みてくる。でもそれで良いんだし、不確かだからこそ映画なり芸術なりが生み出され、存在しない答えを探していくんだなって思った。悲しみと喜び、そして現実と虚構が混じりあった生きるという意味の涙が素晴らしい。

赤く燃え上がる空に代表される非現実的な照明と立ち込める霧等、ゴシックホラーのような空気感を醸し出すことで、現実を非現実が侵食するかのような演出が綺麗で、それがそのまんま彼女の内面的な優越感に近い感情も高めていくわけだから良かった。

最近似たような映画見たな〜って思ってたんだけど『きみの鳥はうたえる』が近いように思う。アレをフランスでやったらこんな感じになるのかな。それと古典的なホラーの傑作の某映画は間違いなく影響与えてますわね。ネタバレになるからそっちは書けないけど（笑）

• #ホラー映画と怖い映画

リリーローズ🌹デップ目当てに鑑賞。
森で人が失踪するサスペンス要素を軸に、大人の男性に憧れる思春期の脆さも描かれている。リリーから求愛されるとか、このおじさんは前世でどんな徳を積んだんだ😇🙏
ラストの展開をみると、今までのは一体なんだったんだーいと肩透かしを食らうが、アンニュイなリリーの美しさが7割くらいカバーしてくれる（笑）角度によってはヴァネッサにもジョニデにも見えるし…ほんと両親の素晴らしい遺伝子のいいとこ取りですわ🥺スコアはほぼリリー加点🥺🌹

2021/02/25 アマゾンプライムビデオ 220作品目

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