ゆう

あの頃。のゆうのレビュー・感想・評価

あの頃。(2021年製作の映画)
3.2
後半部分は普遍的なテーマを扱っているが、前半のハロプロネタ部分はハロヲタ以外に受け入れられていたのかが気になりました。
感想を漁ったところ、ハロプロ分からなくても楽しめた、何か一つに熱中した事のある人なら共感出来るという感想が多かったですね。
一つ間違えば内輪ノリで終わってしまうところをどう見せるのか、ここは今泉監督のバランス感覚が優れていたように思います。

ヲタク版スタンド・バイ・ミーと言ったら少し言い過ぎかもしれませんが、その時辛かった事、恥ずかしかった、長い人生のどこかで振り返った時に、それらが楽しかったと思え、それが今に繋がっていると思えれば、捨てたもんじゃないですね。

色々なライフステージの移り変わりで趣味が変われば、疎遠になる事もある。いつまでもずっと仲良し!というような描かれ方ではない所もリアルだったように思います。
学生時代は卒業があるが、大人にはそれがない!と目を輝かせてこれからの楽しい事に希望を持つシーンに相反して、人生からの卒業、つまり"死"という抗えずどうしようもない事柄に直面する主人公の気持ちが痛々しかった。

昔が良かったと懐かしむ事を否定するわけでも、今が一番であるように全力で生きろとか自己啓発的なやかましさのない、バランスの取れた優しい映画だったと思います。

一点気になるのは、松浦亜弥のそっくりさんが出てきてしまう事。
『ボヘミアン・ラプソディ』だったり、『ロケットマン』だったり、エンドロールでは使われるものの、本編中に実際の本人映像を挟むことはしない。当たり前だけど、出てしまう事で本人を演じている役者が"役者"になってしまい、作品への没入感が薄れてしまうから。
握手シーンがストーリー上それほど核の部分を握っている訳でもないし、背中からのカメラアングルに切り替えるなり、見てる側としても"偶像"のまま描き終わって欲しかったなと言うのが映画ファンとしては思うところ。
ハロヲタとしては無論、最高である。
ゆう

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