コンドー

あの頃。のコンドーのレビュー・感想・評価

あの頃。(2021年製作の映画)
3.7
ハロプロという固い結び目によって繋がる主人公達の青春は、ユーモラスな関西弁のやり取りも相まって、面白かったし、輝いていた。

だが、作品の終盤のテーマとして、「あの頃」との向き合い方が浅いと感じた。時が流れるなかで、青春はいつか途絶える。主人公の青春=あの頃を否定して、決別する姿を観たいわけではないが、「ま、よかったな」と曖昧に片付けている印象を受けてしまった。
中盤あたりで「とにかく笑ってやり過ごせばいいというムードが加速していった」といった独白をしていたが、そうした懐疑的な感覚をもっと掘り下げてほしかった。でも、掘り下げ過ぎると、作品の暖かさが消えてしまうのか…。
石川梨華の卒業コンサートが作品のテーマにもっとドライブをかけられると思った。
最近、好きなモノで繋がり合う関係性の興隆と衰退を描き切った『花束みたいな恋をした』を観ただけに、主人公の「あの頃」を曖昧に振り返る姿に物足りなさを覚えてしまった。

それでも、中盤までのハロプロで埋め尽くされたユートピアな空間はたまらなく愛おしかったので、ま、よかったな。