#1280
沖田修一監督、2020年の作品だ。「モリのいる場所」の後に撮った作品。
沖田監督は1977年生まれだから、この作品は43歳で撮ったことになる。
前作に引き続き、どうしてこうも老人がテーマの映画が撮れるのだろう。
43歳、老人について考えるとか、興味を持つとか、自分ならこうだとか、自分の両親を思うと撮らざるを得ないとか、そんなことはあるとは思うが。
しかし、43歳なら、なんだろう、自分の今を描くような前向きな映画を撮りたいと思わないんだろうか?
まあ、人のことだからどうでもいいけど、老人にとってはありがたいことだ😄
沖田監督作品だから当然のようにあの独特の笑いと暖かさの世界を期待して観た。
見合い結婚させられそうになった1964年、青森の故郷を飛び出し上京した桃子さん(田中裕子ーでもこの時は蒼井優)は、食堂で住み込みの仕事を見つける。何軒か店は変わるが、そのうち食堂に来る同じ東北出身のお客さん修造(東出 昌大 )と結婚、子供もでき、順風満帆な人生を送って来た。しかし、75歳にして夫に先立たれ、突然孤独な日々を送ることになる。
この一人寂しい生活を送る中、不思議な3人の男たちが現れる。彼らは桃子さんの心の声がつくりだした「寂しさたち」だった。
ユーモアたっぷりに、自分の心の声との対話が続いて、沖田監督節炸裂かと思いきや、
桃子さんが、私が亡くなった後の妻の姿に見えてきて、そう笑えるものではなくなった。
妻には、一人になっても元気に生きてほしいし、子供達も今以上にお母さんに寄り添ってほしい。時には私を思い出して、少しは涙も流してほしいとか、なんとか…訳のわからない状態になって、何観てるんだろうと思うしまつ。
これこそ、「なんのこっちゃあー」状態で、レビューも何もあったもんじゃない。
「一人強く生きるために、実は一人の生活がしてみたかったと思う」なら、また、それも良しだろう。
ただ私の場合は、一人になったらそうはいかない。それで、できるだけ妻より先に死ぬことを願うばかりだ。
2023.07.06視聴315