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エイブのキッチンストーリーのtoshiのレビュー・感想・評価

4.1
コロナ禍で洋画の上映が少ない中、以前より楽しみにしていた今作。一人の少年が卵割っているこのジャケ画が鑑賞意欲を沸き立たせます。昨日の食運に続きまたまた飯テロ作品の鑑賞です・・・と思ったらそれほど飯テロではなく、宗教と家族に悩まされる少年のお話でございました。

主役の12歳の少年エイブは、父と母が異なる宗教と文化の為その狭間で日々悩まされます。しかも祖父母や親戚までその影響は広がっており、父の親との食事、母の親との食事、それぞれが異なり得意な料理で何とかしてあげたい気持ちがあるのですが中々上手くいきません。
そんな折、サマーキャンプで料理教室に通うつもりがその授業があまりにも幼く以前SNSで調べたチコという男性の調理場へ両親に内緒で向かいます。エイブは料理を教えて欲しいとチコに頼みますが当然断られます。子供は雇えないと。でもある事がきっかけで翌日からチコの調理場に出向くことを許される・・・。
毎日が楽しいエイブですが何時までも親をダマせるわけでもなく・・・。
そしてますます対立する両親や祖父母の為にある事を計画するのですが・・・。

エイブが兎に角料理好きで家族も大好きでとっても健気です。
そして料理を通じて唯一エイブを対等に扱ってくれるチコの存在が頼もしい。それにしても豚肉食べちゃいけないとか、お酒飲んじゃいけないとか、断食とか宗教に大人も子供も関係ないですが、こんな健気な子供が何故大人に気遣って色々我慢したり悩まなければならないのでしょう。エイブはただただ両親、そして祖父母たちに仲良くしてほしいだけなのに。その為にエイブが立てた計画があんな事になるなんて。大人の皆さんしっかりしてください!!
どこによりそえばいいのか分からなくなったエイブですが、もう頼れる人はその人しかいないよね。そう、その人に頼っていいんだよ。
12歳の少年にとって彼はこれからもかけがえのない存在となるでしょう。

意外というか少し重い内容なのですが、終わり良ければすべてよし!のお手本みたいな作品でもありました。
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