シネマスナイパーF

泣く子はいねぇがのシネマスナイパーFのレビュー・感想・評価

泣く子はいねぇが(2020年製作の映画)
-
これはね、いいよ
すごくいい
またひとつ、大切な映画ができた
刺さらない人には心底どうでも良くて全く肩入れできない映画でしょうね
それがいいとか悪いとかそういう話でもないです
僕は、この映画の空気がたまらなく好きでした


ワンシーンが長く、その中で俳優が見せる素振りがどれもなんか生々しく見える
特にやっぱ仲野太賀は尋常じゃない生々しさ
吉岡里帆はどんぎつねよりこっちの方がしっくりきてる
このふたりの距離感の作り方が完璧だったわ
車でふたりきりは名シーンでしょ
たすくのシートの頭は黄色で半端な状態だけど、ことねのシートの頭はもう赤くなってて完全にアウトだったな
山中崇が脇で大人しく存在感を放っている映画には必ず魅力がある

開店前のキャバクラ?でのくどすぎる「ちょっとぉ」がアホみたいに面白い
ここ以外にも、この監督さんのユーモアは自分に合うと思った
クライマックス見つかるビデオのしょうもなさも最高なんだけど、その後の落差もまた良くて、これまた山本崇の存在が素晴らしい

大人にならなきゃいけない、父親になるとはどういうことか
これは、刺さる奴には相当刺さる
胸が苦しくなる瞬間が何度もあった
最後は悲しすぎて俺まで叫びたかった
改めて知る父親という存在の大きさ
これはあまりにもストレートに、若い男に突き刺さってくる映画だった


こういう、どっしりとした画を見せ続ける強さ、その中で繊細な物語を見せることの出来る器用さ
今後に期待の監督