大道幸之丞

トゥモロー・ウォーの大道幸之丞のネタバレレビュー・内容・結末

トゥモロー・ウォー(2021年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

元々映画館配給公開予定であった本作はコロナ禍事情で配給権をAmazonに売却された作品。それだけになかなか質が高い。

「娘を救うためなら、地球だって救ってやるさ」

この映画は科学者の継承と父と娘の愛の物語である。

タイムマシンものではあるが、そこ自体にあまりフォーカスはされない。

サッカーゲーム中に稲光と竜巻のような風が起こり50人程度の兵士がそこへ急に登場し「2051年に人類は滅亡するそれを避ける為には皆の協力が必要だ」と語りだす。

2051年には飛来した『ホワイトスパイク』と呼ばれるエイリアンが大増殖しながら地球上の人類を食い尽くしている。さしあたり兵力が足りないということで、世界各国で協力し徴兵を行い生存者は自動的に7日後に転送帰還するという。

生物学者ダン・フォレスター(クリス・プラット)も大学の教員であったが招集を受ける。妻エミー・フォレスター(ベティ・ギルピン)と愛娘ミューリ・フォレスター(イヴォンヌ・ストラホフスキー)を残して。ただしR班と呼ばれる科学者のチームへの配属だった。一度に大量の人数がタイムマシンで転送されるが、到着した街では大型で凶暴、しかも俊敏な、人間を片っ端から喰い、鋭いトゲを発射するエイリアンが暴れている。

人間は銃で応戦し弱点とされる喉と腹を狙って攻撃する。この「分が悪い戦いの構図」は「スターシップ・トゥルーパーズ」を想起させる。

本部からは科学者のラボからブルーのアンプルを回収して欲しいと要請が来る。ダンは無事にアンプルを回収するが、ドミニカの司令部に就くとそこには大佐の役に就きエイリアン対策研究を担う愛娘ミューリの30年後の姿があった。

彼女はMITを卒業し優秀な生物科学者だが、強い繁殖力をもつエイリアンのメスを殺す毒素を研究している。しかしエイリアンは毒素を中和する成分も持っており苦戦している。サンプルを捕らえて研究もしている。彼女は7日後に帰還する父親に毒素を託し過去で大量生産し2051年のようにならない事を願っている。

しかし毒素が完成しダンが転送される直前にエイリアンが基地へメス奪還のため大量に入り込みミューリも捕獲される。

ダンは帰還に成功するが、その直後転送装置の未来側が壊れたのか反応しなくなったと聞かされる。これで再度未来に大量生産された毒素を持ち込める目がなくなった。

——ミューリによるとエイリアンはロシアから発生したが宇宙から飛来した記録はないという。そこで徴兵同期で工科大学学科長のチャーリー(サム・リチャードソン)や授業中に火山の話ばかりをする火山オタク生徒のマーティンらの意見を聞くと。エイリアンは未来に飛来したのではなく2022年の時点で既に地球に潜んでいる事が推測された。国防総省にロシアの調査を打診するも。デモ対応で手一杯と断られる。そこで密入国出来るパイロットとしてダンは疎遠だった父親に頼み込み。軍で一緒だった仲間を引き連れてロシアの凍土に降り立つ。

果たしてそこには地中で凍ったままの宇宙船らしきものがあり、貨物としてエイリアンが繭に入って眠っていた。ダンの指示でそれらに毒素の注射を打つと目覚めて暴れて死んでいく。だが、他の繭から逃げ出すエイリアンもいて宇宙船と洞窟にまで出ていってしまう。仲間の懇願で洞窟ごと爆破。

メスが外に逃げたのでダンは父と共同で倒す。

この一連の出来事の情報をメディアに渡し報道され国防総省も動くことに。任務を終えたダンはエミーとミューリに迎えられる。(未来では失ったはずの愛娘との抱擁にはじんと来てしまう)そこには孫娘に毎年クリスマスカードを贈ってくれていた祖父も呼んでおり孫娘と初めて抱擁する。

主人公役のクリス・プラットは「マネーゲーム」で拾われて後に活躍する元キャッチャーのハッテバーグを演じていた人物。

時空旅行モノであるが整合性は全てとれており、未来で娘と会う構図といい、それまで役にたたない存在を思い込んでいた登場人物が最後にカギを握っている様子など脚本は充分に練られており、見ごたえもあった。

配給を諦めてサブスクへ流れてくるパターンも質がよい作品を手軽に観らてていいと感じた。

スコアはやや厳し目ではあるが予算もかかって特撮も手間もかかりオススメです。