けーすけ

パーム・スプリングスのけーすけのレビュー・感想・評価

パーム・スプリングス(2020年製作の映画)
3.9
11月9日。カリフォルニアにある砂漠のリゾート地、パーム・スプリングス。妹の結婚式で介添人をしたサラは、式だというのにアロハシャツ姿で缶ビールを飲む男性・ナイルズに声をかけられる。ナイルズの不思議な魅力に惹かれ共に会場を抜け出したサラであったが、突如ナイルズが弓で襲われてしまった。ナイルズは近くの洞窟へ逃げこみ、サラも後を追いかけたのだが、その洞窟には不思議な力があり、同じ1日を繰り返す“タイムループ”に閉じ込められてしまう事に・・・






タイムループものの作品というと「恋はデジャヴ」や、「オール・ユー・ニード・イズ・キル」「アバウト・タイム」「ハッピー・デス・デイ」等があり、結構使いまわされている設定ですが、本作ではどうなっているのか。
実のところあまり期待してなかったのですが、テンポも良くめちゃ面白かったです。

レーティングがPG-12で、冒頭からド下ネタ。死んだら戻るタイムループもののお約束(?)、様々な死に方もそこそこに描写があるので苦手な方はご注意を。グロはほぼ無いです。



主人公のナイルズは既にタイムループ世界に閉じ込められており、サラを同じ世界に巻き込んでしまうというのが物語の起点。

ナイルズはサラに「みんな大好きタイムループもの!」って言うくらい既にその状況に馴染んでいる状態。当然何度もタイムループからの脱出を試しているが成功することなく、もはや諦めの境地に達している。

サラも最初は戸惑い何とか脱出する方法を探すが、やはり見つからない。2人だけが同じ1日を繰り返し続け(正確にはもう1人いますが)、長い時間の中で徐々に惹かれあっていくという、ラブコメディ展開がバカバカしくも面白い。

このあたりはナイルズを演じたアンディ・サムバーグの演技が本当に良い意味で安定してて、安心して観ていられる。そして巻き込まれたサラを演じたクリスティン・ミリオティもキュートで惹かれる存在。サラがタイムループに巻き込まれた初日に、ナイルズに「どーいう事よ!」と責めるシーンがツボでした。


果たして2人は永遠に続く1日から脱出ができるのか。タイムループに陥ったらきっと皆がやるであろうお約束のネタや、ドタバタもありつつ、同じ1日を繰り返す事の楽しさや辛さがふんだんに散りばめられており、面白くあっという間の90分でした。



本作、制作されたのは2019年で新型コロナが流行する前なのですが、今の状況にどことなくハマってるな、、、とも感じた次第。

もちろん我々の1日は繰り返す事なく時間が日々流れて行ってるのですが、「起きる⇒仕事する⇒映画観る⇒寝る」といった同じ日々を繰り返してるのはある意味タイムループのようなものだな、と。特に在宅勤務がメインになってからは日常の変化が乏しく、この1年わけがわからんまま、記憶に大きく残る出来事も少ないまま過ぎ去っていってるなと改めて思い知らされました。

そのような状況からどうやって抜け出すか、まだまだコロナ禍で油断できない状況ですが、そんな事を考えるのにもぴったりな映画かもしれないです。



因みに本作の紹介の中で、ナイルズの「何十万回も繰り返された“今日”」、といったものを見かけたのですが、“10万日”と書くと多くないように感じてしまうものの、10万日=約274年。40万日で1000年超えちゃう!
(脚本された方は「40年ほどタイムループ中」と言っているようです)

あぁ、想像しただけで恐ろしい・・・。みなさん、そんな世界行ってみたいですか?



2021/04/09(金) T・ジョイPRINCE 品川 シアター5 21:00回にて鑑賞。G-13
2021/07/24(土) Amazonプライムビデオにて鑑賞(1,000円レンタル)。
[2021-034]
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