TakayukiMonji

勝手に逃げろ/人生のTakayukiMonjiのレビュー・感想・評価

勝手に逃げろ/人生(1980年製作の映画)
3.8
ゴダールマラソン。
ゴダールが「ウィークエンド」のあとの政治時期を通過して、久々に商業映画に帰還した、新たなフェーズに入ったであろう作品。「ジェーンからの手紙」から3作ほど実験映画を挟んでいるが、入手困難なので後回しにしてこちらを鑑賞。
政治映画期のジガ・ヴェルトフ集団を解散したあと、交通事故にあったゴダールを支えていたアンヌ=マリー・ミエヴィル。彼女が脚本に参加している。映像と音楽を対等に融合した“ソニマージュ”という手法を大きく推し進める。冒頭から、今まで見たことないような唐突なスローモーションのシーンの挿入、いつもの音のぶつ切りとのノイズの挿入など、より音と映像の融合が意識された編集。80年代初期のジャーマンテクノやアシュラ・テンプルを彷彿とさせるサントラもちょっと面白かった。それと、この頃のジャック・リヴェット同様にサントラを劇中で演奏する演者(オーケストラ)が出てくるのも興味深い。
応答と非応答(コミュニケーションとディスコミュニケーション)を描く男女のやり取りはいつものように、噛み合わない会話と噛み合う会話が繰り返される。そして、今まで以上にセクシャルに踏み込んだ会話。
シネマとヴィデオとマルグリット・デュラスのくだりで”映画とは?”という問いを投げかける。
ラストは「男と女」を彷彿とさせるが、今作では”音楽”と”人生”が強調されていた。冒頭から暗示されていたのも面白い。

若き日のイザベル・ユペールが出演。かなり若い!

全体的に、全く商業映画じゃない!(定期)
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