ボギーパパ

モロッコ、彼女たちの朝のボギーパパのレビュー・感想・評価

モロッコ、彼女たちの朝(2019年製作の映画)
4.1
劇場2021-51 シャンテ
夏休み集中インプット⑦

ムスンメン・・・モロッコ風クレープ。セモリナ粉をこねた生地を焼いたもの。ぱりっと固い食感が特徴。甘いはちみつをたっぷりかけていただくのがモロッコ流。劇中ではチョコを塗りオヤツにも。
レジザ・・・モロッコ伝統の手延べ麺を丸めて焼くパンケーキのようなもの

なんですかモロッコ🇲🇦映画の長編作品が日本で公開されるのは初だそうで。

雑踏も美しく観ていて楽しいモロッコ・カサブランカを舞台に、職なし宿無し未婚の妊婦サミアと、不幸な事故で寡婦となり娘ワンダとパン屋を営むアブラの物語。

イスラム圏では未婚の母は恥であり、認められていないそうだ。ただでさえ女性の権利に関する問題がさまざま取り上げられる世界においてのお話。

冒頭、職を探すサミアのアップ、次第に全身を写し妊婦であることがわかる。行く先々で邪険に扱われ、やがてたどり着いたアブラのお店。袖ふれあうも多生の縁ってなわけで3人の生活が始まる。

このアブラは女手ひとつで娘をしっかり育てている、すぎるくらい気丈な人。笑顔が無い。しかしこの三人の生活において少しずつ、少しずつ何かを取り戻していく。その姿の美しさはシーンが進むにつれ募り、開放(解放でもある)されていく様が素晴らしい。この役者さん凄い!
(アブラに岡惚れ?する業者の兄ちゃん、名前忘れちゃったけどいい味出してたねぇ)

一方、いよいよ出産を迎えたサミアは複雑も複雑。生まれてくる子の幸せを、どう定義するかを苦しみ悩み、、、ラストは観客に委ねられる。

人情噺であり、社会問題を、宗教的問題を突きつける作品。人情噺といったのは、なんかこれ邦画でも撮れるし、あったような気もするくらいに親しみ易さ?を感じる作品であったから。

予告観て初日鑑賞でき良かった。素晴らしい作品でした。
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