たますけ

モロッコ、彼女たちの朝のたますけのレビュー・感想・評価

モロッコ、彼女たちの朝(2019年製作の映画)
3.8
シングルマザーのパン屋の女性が、たまたまお店の前で寝ていたホームレスの妊婦を助けてから始まるストーリー。
ルジザ(パンケーキ的なもの)作りが得意で明るく強い妊婦のサミアは、パン屋のアブラの頑なな心を少しずつ溶かしていく。

夫を亡くし好きな音楽も聴かないように心を閉ざしたアブラ、サミアに無理やりテープを聴かされて最初はラジカセを止めようとしていたのに、途中から音楽に合わせて身体を揺らし始める。
ここのシーンがとても良かった。

イスラム社会がとても女性に厳しく、未婚の母を許さないし夫の埋葬に妻が同席することも許さないなんて知らなかった。
片親で一人娘を育てているアブラの環境や、同じく夫を亡くしたのに未婚の妊婦になってしまったサミアの環境は同じ女性として身を切るように辛く感じた。
産んだ子をすぐに養子に出さねばならないサミアの心の閉ざし方は、アブラの比ではなかったっけ。

最後に「実母に捧ぐ」と示されるので、マリヤム・トゥザニ監督はあの可愛いワンダだったのね。
ラストは賛否が別れるだろうけど、自分的には好きな終わり方でした。
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